「脱北者」カンゴンさん、"失踪"、拷問・処刑の怖れ
カン・ゴン(Kang Gun。36歳)は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から逃れ、韓国の市民となった。彼は、2005年3月に中国内で北朝鮮の工作員によって拉致され、現在、平壌の国家安全保衛部の刑務所に拘束され、拷問または処刑の重大な危機に面していると思われる。
カン・ゴンは、北朝鮮の食糧危機により中国へ逃れて韓国へ渡ろうとする北朝鮮市民を救援中に、拉致された。中国当局は、これまでに何百人もの北朝鮮市民を強制送還しているが、本国へ強制送還された人々は、拘束・取調べ・拷問・虐待に直面した後、過酷な状況にある刑務所に投獄される。カン・ゴンは、吉林省の龍井市に移動したが、彼と親しい北朝鮮の知人が密告したため、同市内で北朝鮮の保衛部員に捕まったと見られる。
2004年2月、カンは、咸鏡(ハムギョン)南道の耀徳(ヨドク)管理所(政治犯収容所)内部の様子をひそかに撮影した映像を、日本のテレビ局に渡し、この映像は同局より放映された。これが、彼が拉致された理由の一つと思われる。
カンは、国家安全保衛部の中堅幹部であったと思われ、そのため、北朝鮮へ送還された後、とりわけ厳しい処罰に直面することが予想される。
背 景 情 報
北朝鮮の何万もの人々が国境を越えて、中国に逃れ、その多くが国境地域に「不法」滞在している。その生活状況は過酷を極め、中国による支援・保護を受けられずに、肉体的・精神的・性的な搾取の犠牲となりやすい状況にある。また、「不法に」越境した、あるいは越境を手伝った北朝鮮市民は、長時間におよぶ取調べ中の拷問や虐待などの厳罰に直面する。
カン・ゴンの他に、元北朝鮮国籍の韓国国籍者が少なくとも5名、中国内の北朝鮮工作員により拉致された、と報告されている。なお、この総数は、この他にも多数の人が、中国および他国から拉致されたことが考えられるため、更に多くなると思われる。中国政府は、北朝鮮保衛部によるこれらの拉致を、認めるどころか、「自由意志による帰国」あるいは「北朝鮮領域での拉致」と報告している。
北朝鮮の法律では、「共和国の国境」を違法に越えた者はすべて、管理所に、3年以下、収容されることになっているが、この法律は、北朝鮮も批准した『国際人権(B)規約』12条2項に違反している。
朴永哲(パク・ヨンチョル)は、2004年10月に中国から強制送還され、拷問、処刑の危機に瀕している(アムネスティ文書UA343/04, ASA24/007/2004)。2003年8月に中国から強制送還された家族3人は、拷問された後、2004年10月以来、消息が伝わっていない(アムネスティ文書UA311/04, ASA24/002/2004)。
(アムネスティ緊急行動文書『北朝鮮:"失踪"・拷問の怖れ・死刑の怖れ』ASA 24/003/2005より抄訳)
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA240032005?open&of=ENG-PRK
<嘆願書例文>
金正日 委員長 閣下
中国から貴国に送還されたカンゴンさんが拷問され、処刑される恐れがあることに、憂慮を表明いたします。彼をただちに釈放してください。
また、彼を始め、収容所に投獄されている人々が拷問・虐待を受けているという報告について、充分かつ独立した公正な調査を行なってください。その結果を公表し、拷問・虐待に責任のある者は全員、法により裁いてください。そして、収容されている全ての人たちの身の安全を、保証してください。
誰もが貴国を出国しようとしただけで投獄・虐待・処刑されることが無いようにしてください。基本的人権を平和裏に行使したために拘束・投獄された人は、全て釈放してください。
敬白
署名:
Dear Chairman Kim Jong-il
date(日付):
I express my concern for facing the fear of torture and execution of Democratic People's Republic of Korean national KANG Gun, who was forcibly returned from China. I call for his immediate release.
I also call for a full, independent and impartial investigation into reports he and other detainees have been tortured and ill-treated while in detention, and that all those responsible are brought to justice. I call for the provision of guarantees for all detainees' safety .
I urge the government of DPRK to ensure that none is imprisoned or ill-treated or executed solely for attempting to leave DPRK, and for all those detained or imprisoned for the peaceful exercise of their fundamental human rights to be released.
Yours Sincerely
Signature(署名):
<宛て先>
(葉書:国外=70円、日本国内=50円)
朝鮮民主主義人民共和国
平壌
国防委員会
金正日 委員長 閣下
<コピー宛て先>
[朴吉淵 駐ニューヨーク大使閣下]
Mr. Ambassador Park Gil-yeon
Office of the Permanent Mission of the Democratic People's Republic of Korea to UN,
820 Second Avenue, 13th Floor
New York , N.Y. 10017,
USA
Fax: 001-010 +1 212 972 3154
(KDDI利用の場合)
[駐日機関]
102-8138
東京都千代田区富士見2-14-15
在日本朝鮮人総聯合会
徐萬述 議長 様
Tel: 03-3262-7111
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アムネスティ日本「コリア・チーム」
「中国調整グループ」
『情報定期便』2005[平成17]年11月号