ご褒美も、

何も

いらないから

 

 

 

 

店長と

一緒に、いたかった──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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🌸

 

 

 

 

 

 

 

 つきあって三ヶ月。

 最近、不安に思っていることは、店長がちょっと押せ押せだってこと。

  もちろん、成人男女が付き合って、何をするかなんて分かってますよ?

 何がナニかなんて言わせるな! 

 こちとら、処女だ!

 そうです。まだユニコーンにも触れる清き乙女であります。

 

  藤森奏楽。もうすぐ二十四歳。

 彼氏います。まだ清らかなお付き合いです。

 奥手ですみませんね!

 

 

 

 

 

 

 

店長との交際もそれなりに順調。
(※清らかなお付き合い)

異世界コンビニにも慣れてきた。

だけど、人生、そんんなに甘くない!

 

 

 

 

 

 

 

 「今日はソラさん、あなたに言いたいことがあってきました。

 わたくしの息子、アレイと別れなさい

 

 「ジグさん……私、聞いてないんですけど」

 「言いたくなかったんだろうさ」

 ですよね。分かります。

 だけど、出来れば事前に、それこそおつきあいする前に、言ってほしかったかなあ……なんて。

 

 

 

 

 

店長のお母さんは
二人の交際に大反対!

 

 

 

 

 

 

 

 四賀さんは自分の手元に届いた琥珀色の、

 恐らくウイスキーであろう液体で口を湿らせてから、

 最後通牒を突きつける。

 「アレイ、お前を指名して、

 キザク国の公爵令嬢との

結婚の申し込みがきている

 「はあっ?!」

 

 

 

 

 

 「……それらは決定事項ですか?」

 思わず問いかける声が震えた。情けない。

 だけど、それだけは確認しておかなければならなかった。 

 四賀さんの目をしっかりと見つめて問えば、四賀さんもしっかりと私を見返して頷く。

 「そうだ。春祭り終了後、速やかに巫女の変更を行うよう言われている。

 だから、春祭り前、三月三十一日付けでコンビニは閉店という決定がなされた」

 「閉店……」

 私の知らないうちに閉店とか、なんだ、それ。しかも三十一日って──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立て続けに、

婚約話やら

閉店話が舞い込んで……

 

 

 

 

 

 

 確かに閉店だ、駆け落ちだ、と言われているが、まだ諦めていない

 状況が分からず困惑した顔でラフレ姫を見つめ返すと、

 次の瞬間、思いもかけない言葉をラフレ姫に告げられる。

 「春祭り後、国許で結婚することになりました」

 「え、誰が?」

私の嫁入りが決まりました。相手は自国の侯爵です」

 あまりにも突然のことに、言葉もない。

 店長の結婚話だって寝耳に水だったのに、どうしてラフレ姫まで……

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲も全然

穏やかじゃない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の知らないところで、この人は沢山傷ついている。

 この人は沢山色んなものを背負わされている。

 この人は沢山頑張っている。

 そのどれもが、私の知らない場所での出来事だ。

 

 

 ああ、私、

何で

プルナスシアの人間じゃないんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

藤森奏楽。もうすぐ24歳。

人生の岐路に立つ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「君たちは、

 離れ離れか、

 共に生きるかの、

 どちらかの選択しかないんだよ」

 

 

 

 

 

 「ソラちゃんの人生だもの。最愛の人と共にある人生を選びたいわよね」

 「ミサオさん……」

 「でも、ソラちゃんだけが苦しまなくたっていいのよ。

 店長だってきっと色々考えてくれるはず。

 二人で一杯話し合って、お互いが一番苦しくない未来を選ぶことも、大切よ」

 ミサオさんの言葉にジンときた。

 「それに、ソラちゃんが

 プルナスシアに行かないことにだって、きちんと理由がある

 と私は思うわ」

 「巫女だから、じゃなくて?」

巫女って理由だけじゃなく──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悩める異世界コンビニ店長、

藤森奏楽の未来は

どこにある?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の人生。

 記憶。

 全て。

 丸ごと受け取りやがれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異世界コンビニ

作;榎木ユウ

イラスト:chimaki

発刊 アルファポリス

価格1200円+税

 

 

8月27日出荷予定
よろしくお願いします。

す!

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ、ファンファレマートへようこそ!」

 

 

 

 

※本文中で使用した文章はweb掲載時と書籍内のものです。
実際の書籍とは文章が違う部分があります。ご了承ください。