何度抱いても
「待って伯言!」
抵抗する尚香の身体を壁際に追いやり、その口を塞ぐ。
真っ暗なこの部屋からは宴の賑わいが耳に届き、またその明かりが僅かに見える。
この絶妙な距離が尚香を慌てさせ、陸遜を昂らせた。
熱い舌が彼女の口内で動き回る。
「んんんん」
長い長い口付けが続く。
頭がぼうっとしてきた頃合で、彼の唇は首へと移った。
手では尚香の服を前だけ開いて肌蹴させる。
「やっ!駄目ぇ」
彼女の抗議の声も無視し、胸の頂を指で弾く。
「あっ」
鼻に掛かった声を漏らし始めた尚香の顔を覗き込んで笑んだ。
「綺麗ですよ」
隙間から差し込む月光が、彼女の美しさを惹きたてる。
首から胸へと移された舌が絶えず刺激を与えた。
「っは、あ・・・あっ!」
「何度抱いても心地が良いんですよね」
囁くように言われた言葉に顔が更に赤くなる。
陸遜は胸に手だけを残し、唇は腹を通って下へと動かした。
片足を少し持ち上げ陰核を舐めあげる。
「あぁっ!やぅ、ん」
指を一本差し込むと、ぬるりとした液体が指を濡らす。
中の暖かさと柔らかさに、口角が上がった。
指を引き抜き、代わりに舌を差し込む。
「っひぁ!や、やだ」
出し入れされる舌でおかしくなりそうで、陸遜の髪に指を絡めた。
水音が部屋に大きく響いている気がして、尚香の頬は羞恥で赤く染まる。
二人が行為に耽っていると、僅かな音に耳が反応した。
回廊を誰かが歩く気配に動きが止まる。
近づいて来る足音に、先程とは違う意味で心臓が激しく跳ねた。
「・・・うん?」
(子明!?)
恐らく隣の部屋の前辺りに居るのだろう、声の主が判る程その距離は近い。
(お願い、こっちに来ないで!)
「物音がしたような気がしたのだが」
呂蒙にこれ以上近づいて欲しくない尚香は、必死に気配を殺した。
しかし、陸遜はほくそ笑んで彼女の足を肩に担ぐ。
「嘘、伯言・・・止めて」
「声を出したかったら出しても良いですよ」
耳元で囁くその声は、まるで見つかる事を楽しみにしているようで恐怖さえ覚えた。
逃げようとする腰を抑え、挿入する。
「あ、ぁ」
声を漏らさないように自分の手で口を塞ぎ、襲い来る快感の波に抗う。
「誰かいるのか?」
(嫌、来ないで!)
呂蒙が扉の取っ手に手を掛けた刹那、彼の横をねずみが通った。
「何だ、ねずみか」
取っ手に掛けた手は離される。
しかも丁度良い所で、彼の主が回廊上で叫んでいた。
「何処へ行っておった呂蒙!まだまだ呑み足りぬぞ!!」
「はっ、申し訳ございませぬ」
孫権に捕まった呂蒙は、二人に気づく事無く宴の席へと戻る。
彼の気配が雑音だらけの部屋へ戻ったのを確認してから、押さえていた手を離す。
「・・・・・・っふ、あ」
「ふふ、残念でした」
「なっ・・・ん!」
抗議する声も唇が塞がれては聞こえない。
「では、思う存分鳴いて下さいね」
そっと離された彼の口から出た言葉に答える間もなく、腰を打ち付ける速さが増した。
その快感に身が震え、思考回路は切れそうな程。
「あっあぁ!んぅ、・・・はっ、あ」
「くっ、そろそろ私も」
「一緒に、伯言・・・私と一緒に!」
「っは・・・うっ!」
「んっ、っっ!あぁぁっ!」
尚香の言葉に従うように、ほぼ同時に達する。
その場に落ちるように力の抜けた彼女の抱き止め、上気する頬に口付けを落とした。
「本当に・・・飽きさせませんね」
腕の中でまどろみ始めた尚香に、優しく微笑んだ。
<了>
黒陸で陸尚です。
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