辺りが薄暗くなって来た時間帯。
部屋でくつろぐ凌統は回廊をご機嫌に歩く足音に気づいた。
「何だ?」
気になって立ち上がると自分の部屋の前で気配は止まった事に気づく。
規則正しくノックがされた扉を開けると。
「こんばんは〜」
愛らしく微笑む孫呉の姫がそこに居た。
「何ですかその格好!?」
「これ?良いでしょう〜侍女が作ってくれたの」
くるりと回って似合う?と嬉しそうに聞いてくる彼女の格好は、
虎革で作られた衣装を身に纏う虎娘。
この寒いのにへそ出し脚出し、ついでに言えば肩も腕も出てるのだから相当の露出だ。
尻尾と耳は付いているが防寒にはならないだろう。
「今日は万聖節の前夜祭っていうお祭りでね。仮装してお菓子を貰って歩くの」
多少ずれた知識でも知ったからにはフル活用という事で、本日二喬の二人と一緒に
仮装して至る所を回っていたらしい。
「と、いうわけで。お菓子をくれないと悪戯しちゃうわよ」
にっこりと笑いながら手を差し出す彼女に、
貰い物の焼き菓子を渡そうとした所で手を止めた。
「姫、お菓子をあげないと悪戯されるんですよね?」
「そうよ」
「じゃ、あげない」
「え!?」
「姫の悪戯受けたいし」
ニヤッと笑う凌統にうっと呻く尚香。
「さて、どんな事されるんですかね?」
「ちょっと待って、悪戯なんて考えてないんだから」
菓子をくれなかった人なんていなかったので、
尚香の頭の中にはどんな悪戯を持って悪戯とするのかなんてわからない。
しばし考えていたが、とうとう良い考えは浮かばず
凌統の手にある菓子を狙う。
「それ貰えれば、面倒な事にはならないんだけど?」
「駄目。俺は面倒な事になって欲しいんですから」
「・・・悪戯なんか浮かばないもの」
意気消沈する尚香にじゃあと持ちかける。
小さく千切った菓子を口に入れて、彼女の唇に重ねた。
そのまま口内へと舌ごと進む。
唇と唇の隙間から時折水音が漏れる。
尚香の体から力が抜けそうになった所で口付けを終えた。
「甘かったでしょう?」
凌統の問いに答える気力もない彼女はそのまま彼の腕の中へと納まる。
今日はもう何処にも行かせない。
「あなたの魅力に堕ちるのは俺だけで十分です」
<了>
微エロ(笑)
寝る間際に思いついたネタです。
攻め攻め凌統バンザーイ!(笑)