続!良薬口に・・・苦し?




目を瞑ってからどれ程の時間だったのかは覚えていない。
ただ、震える身体に気づいただけの事だった。
震えているのに額を当てていた胸板から、背中に回された腕から、
熱いと感じる程の熱が伝わってくる。
「孟起?」
僅かに動く首から上だけで見上げる形をとって呼んでみたが返事はない。
「孟起!?」
心配になって再度呼んでみる。
「くっ、お前心配しすぎ」
からかいを含んだ笑い声が降って来たので
少し頬を膨らませて睨んでみるが、彼が此方を向かないので意味がない。
ここで尚香は違和感を覚える。
何時もだったらからかった後に、何かしら動きがあるのに何もない。
馬超の身体の震えが大きく伝わって来た瞬間に跳ね起きた。
「孟起!!」
馬超の顔を覗き込んで一瞬息が詰まる。
すぐ後には涙が出そうになった。
「何で・・・辛いって言わないのよ」
「・・・泣くな」
「泣いてない!」
目尻に溜まってはいたけれど、流す前に思いっきり拭う。
そっと馬超の頬に手を伸ばした。
「こんなに熱いのに、こんなに震えてるのに・・・馬鹿ね」
否、馬鹿は自分だとわかってる。
どうしてもっと早く気づいてあげられなかったのか。
「待ってて!すぐに典医を・・・!?」
寝台から急ぎ降りようとした身体は引っ張られ、瞬きの後には上に彼の顔があった。
「・・・孟、起?」
「行くな、此処に居ろ」
頬に朱が差したのが自分でよくわかる。
風邪のせいで掠れているのに、その声がまた色っぽいとか余計な事を考えてしまった。
「で、でも!・・・」
反論の声は途中から消える。
重なった唇は何時もより熱い気がした。
「知ってるか?寒い時は人肌が一番だって」
吐息が届く距離で何時もの意地悪な笑みを浮かべる彼に頬を赤くする。
「それは知ってるけど・・・って孟起!」
喋っている間に上半身は肌蹴させられていた。
馬超の手が触れる場所から熱が伝わって来る。
「そんな身体で・・・」
押し止めようとする尚香の声は届かず、彼の手は身体を滑るらせるように触れ続けた。
「・・・っあ」
止めさせないといけないと思いつつ、愛しい男の手に身体が疼く。
馬超もそれをわかっていて何時も通りに彼女の敏感な場所に触れるのだ。
しかし彼の思考は熱に犯され、徐々に理性が効かなくなっていく。
それに気づいたのは尚香の方が先だった。
手や唇が熱を持って激しく攻め立てる。
「っつ・・・や、孟起」
こんなに急かすような攻め方をするはずないのに、と焦る。
足の間に身体を割り入れられて、気づいた時にはまだ濡れきっていない場所へ
彼が入ってきた。
「いっ・・・た、こんな、のはいやぁ」
初めて男を受け入れたほどではないにせよ、痛みが広がる。
涙がぼろぼろと零れた。
「・・・尚香?」
尚香の泣き顔を見てようやく馬超は動きを止める。
己を抜いて彼女の身体の上に倒れこみ、そのまま抱き掻いた。
「・・・すまない」
熱い身体に抱きしめられて、尚香は涙を拭う。
そしてその手を彼の頭に回してそっと撫でた。
「大丈夫、大丈夫だから」
泣かないでと心の中で続けた。
彼は顔に出さないけれど、泣いているとわかっているから。
熱のせいで理性を制御できなかったのはあなたのせいではないだから。
だから、自分を責めないで。
そう願いながら銀色の髪を撫で続けた。


重なる身体が熱い。
熱が上がって風邪と戦っている事は知っているが、それでも心配だった。
「大丈夫?」
問う言葉に馬超は少しだけ尚香の方を向く。
その瞳が・・・子供が悪い事をして、しょげているように見えて
思わず可愛いと思ってしまった。
抱きしめる腕から這い出て彼の頬に口付けを落とす。
「ねぇ、しても良い?」
「・・・何を?」
「そんな事、言えないわよ!」
もう!と照れた彼女の様子に、何となく察知する。
「好きにしろ」
笑って答えれば、嬉しそうに破願した。
仰向けになってもらって、初めて彼のものを口に含む。
鈴口の部分に舌を這わせ、何度も行き来させる。
慣れない行為だが、彼の為ならと思う。
口内で硬くなる男根に、してあげる喜びを覚えていった。
「・・・っ」
馬超の口から耐える声が漏れた。
根元まで咥え込んで、時折わざと音を漏らした。
口の隙間から水音が聞こえ、尚香自身も身体が火照る。
「っ・・・出るぞ!」
刹那に吐き出された液体は、喉奥へと注ぎ込まれた。
勢いが凄すぎて一気に飲み込んでしまう。
「・・・の、飲んじゃった」
「別に悪いもんじゃないだろ」
ニヤリと笑った彼の顔に一瞬の時を奪われたと思ったら、あっという間に組み敷かれていた。
「も、孟起?」
「お前のお陰で大分スッキリしたからな、今度は優しくできそうだ」
くつくつと笑う馬超の表情を目の当たりにして、前言撤回!やっぱり可愛くないと
暴れる尚香の長い夜は今から始まる。



<了>
SSの「良薬口に・・・苦し?」の続きです。
Rヲさんと茶してたら、「熱でご乱心馬超、寒いのを強調」っつう
リクエスト頂きまして書いちゃいましたよ(笑)
ってあんまりリクエスト通りになってませんが、これで許して!(笑)