愛の性
啄ばむような口付けを繰り返し、
帯を解いて何時ものように優しく触れる。
頬から首、鎖骨へと移って豊かな双房へと大きな手が動く。
「んっ・・・」
胸の先端を指で挟むときゅっと立ち上がる。
敏感な部分を刺激すると睫が小刻みに震えるのが見られた。
静かに首の辺りを掠るように口付ける。
視線だけ向けてみると、感じてはいるものの、時折心此処に在らずといった表情が見えた。
「今日は止めるか?」
「えっ?」
「あまり乗り気じゃないんだろ?」
淡々と聞いているようで、実は少し不機嫌な声色に慌てて手を左右に振る。
「あ、違うの。ちょっと考え事しちゃって」
「こんな時に考えなくちゃいけないような事なのか?」
「・・・ごめんなさい」
しゅんと項垂れるように伏せた顔に手を添えて自分の方を向かせる。
「まぁ良い、聞いてやるから話して見ろ」
「ん〜・・・」
「なんだ、俺に話せない事なのか?」
「そうじゃないけど」
馬超の手に自分の手を絡ませて握り、覚悟を決めたようだった。
「阿斗にね、『愛って何ですか?義母様は父上を愛していますか?』って聞かれたの」
「・・・ほう」
それで?と続けた馬超に、小さな声で答える。
「もちろん愛しているわって答えた・・・だけど」
「・・・・・・」
「愛情にも種類があるじゃない?私が阿斗に答えたものは家族愛なのよ」
そう、それは阿斗が父親に向けるものと同類のもの。
だから、それがもし・・・
「もし、それは男女の愛ですか?って聞かれてたら、どうして良いかわからなくなりそうで」
少し考えてしまったの、と苦笑した。
「・・・・・・」
「どうしたの?」
黙ったままの馬超に問い掛けるが、返って来たのは不機嫌な声だった。
「気に食わんな」
「?」
小首を傾げる尚香の頬を挟んで唇を重ね合わせ、そのまま強引に舌を差し込む。
「んっ!」
呼吸が辛くても馬超は止めようとしない。
押しのけようにも上からのしかかる力には敵わなかった。
「んぅーーー!」
腕を叩いてやっと解放されたと思ったら、彼の唇は双房へと移って行った。
胸の頂は何度も執拗に口の中で転がされ、硬く張り詰めているのがわかる。
本気で噛む事はないけれど、歯を少し立てられただけで痛みと快感が波打った。
衣擦れの音が絶え間なく響く。
「んっ、はぁ・・・も、孟起?」
息つく暇を与えずに攻めの体制を崩さない馬超に、不安げな声が漏れる。
「区別があろうがなかろうが、俺の前で他の男を愛してるなどと言うな」
馬超の言葉に大きな目が更に大きく開く。
それは彼が初めて洩らした嫉妬という感情。
「・・・何か、凄く嬉しいんだけど」
「じゃあ覚えておけ、俺はお前が他の男と居るのを嫌っていると」
「本当?」
「嘘などつくか」
いつだってそうだ、と不貞腐れるように呟いた言葉が嬉しくて仕方が無い。
意外と不器用な彼に柔らかい笑みが漏れる。
「そうね、じゃあ孟起も覚えておいて」
「何をだ?」
くすりと頬を緩ませて、馬超の顔を引き寄せた。
「私がこうしたいと思うのはあなただけ」
軽く触れるだけの口付けがやけに甘い。
ね、覚えておいてね。と微笑む彼女はまだ先遠い春のよう。
「・・・覚えておこう」
ふっと軽く笑う馬超と口付けを繰り返す。
先程の激しさが嘘のように柔らかい。
彼の手も絹のような触り心地の肌を滑るように降りて行く。
「ぅん、っは・・・あ」
先程の愛撫も尾を引いてるせいか、反応が早い。
これなら既に?と予想した秘部に手を伸ばすとそこは今か今かと彼を待っていた。
指を差し込むと暖かい壁が締め上げる。
「っはぁ・・・んぅ・・・孟起、来て欲しいの」
艶声を上げて、潤んだ瞳で見つめられて指を引き抜く。
纏わり付いた液体を舌で拭って、尚香の両足を開かせた。
既に怒張していた自身をゆっくりと差し込んで行く。
「あっ・・・」
嬌声を上げて、快感に身を任せる尚香は昼間とはまるで違う。
一言で言うなら婀娜っぽい。
その仕草一つ一つに惑わされるかのようだ。
全てが入った彼女の中は狭く、絡みつく襞も熱い。
ぎりぎりの所まで戻して一気に最奥まで貫く。
「っあぁ!・・・ん、も、孟起!」
馬超の腰が動く度に、繋がった部分からは水音が生じた。
何度も繰り返した一連の動きに、徐々に中のきつさは増していく。
「だ、だめっ!もう・・・も、いっ!」
「・・・っは、く!・・・」
白濁したものを最奥へと放出した後も、最後の最後まで搾り取られるかの如く纏わりついて離れない内部。
何とか緩むまで持ち堪えて、己自身を引き抜く。
荒い息のままに、尚香の額に口付けを落とした。
彼女の隣に横たわり、まだ熱い身体を引き寄せる。
「・・・・・・てる」
小さな、ほんの小さな声が聞こえて、尚香の後頭部に手を回して微笑した。
「・・・俺もだ」
馬超の囁きに、彼女の頬が嬉しそうに笑みの容を象る。
横溢したこの想い
あなた以外には
向けられない
<了>
タイトルは愛の性(あいのさが)、深い意味はないのです(爆)
「カウンタ10000超えて嬉しいぞ企画」へ馬尚で裏(Bb)とのリクエストを頂きました。
リクエストしてくださった希咲さんだけお持ち帰り可です。