「・・・頑張れ〜」
「何ですか、その気の無い応援は?」
普段は明るく鈴のような声なのに、今日はだらけた気力の気の字も入っていない声。
腰の両手を当てて聞くと、目の前の彼女はちょっと機嫌の悪い子供のような仕草をしてみせる。
「だって、前の試合で私負けちゃったんだもん」
「その相手と俺が戦うんですから、ちゃんと応援してくれたって良いんじゃないですか?」
「・・・どっちにしろ悔しいの!」
「あ〜また姫の我侭が・・・」
「どうせ我侭ですよ!」
これ以上不機嫌にさせると自分に色々と跳ね返って来る事を心得ている凌統は、静かに近づいて耳元に口を寄せた。
「姫に認めて貰いたいから頑張ってるんですけどねぇ」
音が出てもおかしくない程一気に赤くなった顔に、不適に笑う。
「あなたの応援が欲しいんです」
「・・・しょうがないなぁ」
しぶしぶといった感じを出そうとしている事があまりに可愛らしくて
噴出しそうになるが、グッと我慢して顔を上げた彼女の唇をさらっと盗んだ。
「美味しく頂きました」
「ば、馬鹿!」
「馬鹿でも良いんですよ。その分幸せですから」
堂々と言ってのける凌統に唖然とさせられる。
「じゃあ、そろそろ時間なんで行って来ますかね」
振り返った彼の背中に、ぽつりと小さな呟きが届けられた。


「・・・頑張って!」



<了>
凌尚です!っつか、これは日記に載せようかな〜?と思って
長短時間で書いたものです。
でも結構長く書けたのでSS扱いで(笑)