対人稽古自粛の解除に伴う新型コロナウィルス感染症対策について
                          
                        
(1) 対人稽古再開に向けたガイドラインの概要について 水田講師)
 【稽古再開について】
 6月4日に全剣連から対人稽古自粛が解除され、検証・情報に基づき様々なガイドラインが策定されてきた。それを受けて茨城県剣道連盟でも4月より医学委員会が発足され、同委員会を中心に検討を重ねてきた。
 【ひとり稽古の意義】
 私自身、このように長い期間稽古(対人稽古)ができなかったのは初めて。剣道日本7月号に豊村範士の話しが掲載されていた。「1~2年中断したことでダメになる剣道は、もともと何かが足りなかったんだと思う。」以前豊村範士が八段に合格したばかりのころ、稽古をもらいに行ったことがあった。錬成会館で稽古を終え、夜眠ろうとしたら1階から踏み込みの音が聞こえた。八段を合格したばかりなのに、豊村範士は夜ひとり稽古をしていた。
 【世間の趨勢(すうせい)】
 全剣連は感染予防をしながら、徐々に稽古を再開していこうという考えでいる。社会体育指導員養成講習会は12月まで中止、1~3月までの間に東西で1回、開催を検討している。
 【稽古に来ない人への配慮】
 今日の参加者は、日ごろ指導的立場におられる方々だと思うが、稽古再開に対する気持ちの多様性(感染が心配な人等)を理解していただきたい。感染リスクと防止法を正しく理解してほしい。現在稽古に来ない人に配慮しなければ、剣道は健康で稽古ができる人だけのものになってしまう。
 
 
(2) ガイドラインを踏まえた昇段審査、大会について 香田講師)
  対人稽古では必ず「面マスク」を着用すること。当初全剣連で手ぬぐいを加工した面マスクが紹介されたが、「紹介された面マスクは苦しい」との問い合わせが全剣連に相次いだ。実際に使用してみたところ確かに苦しい。面をつけての対人稽古ではウレタンで立体的になっているマスクがいいと思う。(香田講師も実験済み、その他様々なマスクを紹介されました。)審査においては、●発声はしてもよい●必ずマスク着用●できればシールドをつけるとしている。
  大会においては、
  選手・・・面マスクを使用(シールドは自由)する。
       鍔競り合いはすぐに分かれるか引き技を出す。
       鍔競り合いになったら掛け声はださない。(引き技時の発声は認める。)
  審判・・・マスクを使用する。
       自身の審判旗を使用する。
       鍔競り合いは直ちに「分かれ」をかける。
  係員・・・マスクとシールドを使用
確認証(問診)の提出が必須。試合時間は通常の時間帯より短くするなど工夫をする、また審判員の合議も距離をおいて短い時間で行う。


(3) ガイドラインを踏まえた稽古方法と熱中症対策について 林講師)
 剣道関係者から感染者を出さない、命を守る(熱中症を含め)、新しい剣道様式を工夫しつつ剣道再開の道を立てなければならない。再開しないと剣道自体が衰退してしまうので、慎重に前に進んでいかなければならない。
 面マスクは飛沫を出さないという意味で、防ぐことはできない。(コロナ感染者がいてその人がマスク未着用だったら、マスクを着用していても2~30%しか防げない。)シールドが相手からの飛沫防止に一定の効果を有する。(飛沫や微粒子に対する防御効果は検証されていない。)全剣連では「鼻はだしてもいい」としているが、鼻からも飛沫は出るし、相手からの飛沫を鼻から吸い込む可能性がある、「鼻も覆う」という考え方で対策をとってほしい。換気は「30分に1回」と言われるが、「30分に1回窓を開ければいい」ではなく、「30分毎に、室内の空気を入れ替える」という意味がある。扇風機を回しても空気が室内を循環していては意味がない。出口に扇風機を向けるなどして空気の入れ替えを心掛けたい。
 口の周囲に湿り気がありのどの渇きや脱水状態に気付かない、こまめな水分補給を心掛けてほしい。また息苦しさから過呼吸が生じる可能性があり、過呼吸から不整脈やパニックをおこすこともある。またシールドが曇り足元などの視界がわるくなる、転倒にも注意したい。小中高生・未成年などを指導する場合は、保護者にガイドラインを示し、同意をもらうことが重要。また、感染者には罪はないので、感染者に対する誹謗中傷はあってはならない。