日立産業再生プロジェクト全体会議にオブザーバー参加
開催日:2003年6月16日
場 所:日立商工会議所・4F・ドームホール
今日の会議は
「日立市工業振興計画」
を策定した委員会のメンバーによる計画の
説明会の様相であった。
「
日立市工業振興計画
・2003年3月版
」
これは平成8年度に策定された
「日立市工業振興計画」
のもとで数々の施策を
行ってきた。
しかし、国際的な価格競争やそれに伴う国内企業の海外進出比率の上昇に伴う
国内産業の空洞化、IT化の進展など、経済社会情勢や産業構造の変化によって
市内の製造業に及ぼす影響は予想を超えるものになってきていた。
そこで、平成13年から準備調査や市内企業へのアンケートやヒヤリングを行い、
これらを元に未来の日立をどうするべきかにまで言及する、新たなる振興計画を
策定するに至ったものである。
しかしこれは、全ての中小企業を助けようとするプロジェクトではなく、個々の企業や
経営者が主体的に取り組むことを前提としており、自らが努力し、経営革新に取り組
もうとする、やる気に溢れた企業を重点的に支援して行くものである。
今回の計画書は、単なる過去のデータや傾向をグラフ化したものではなく、これから
の再生に向けての処方箋としての意味も持たせてあるらしい。
この委員会のメンバーは、この計画策定のために長い時間と数多い会議討議を重ね
られて来たため、計画書への思い入れも大きいのであろうと思われた。
座長の森秀男副会頭の挨拶でも
「
会議所として出来る最大の努力と協力を惜しまないが各企業や経営者各々が、
日立の工業会のリーダーとして使命を胸に抱いてこれからの日立市のために
努力していただきたい
」
と述べていた。
思いを語る座長の森さん
今日の会議は、メンバーの中でも数多くの企業を見て来た経験を元に、中立的な
立場から解説を行えるよう、早稲田大学商学部教授の鵜飼信一氏に基調講話を
お願いしていた。
氏は「
ひたち未来塾
」でも講師を務められているので、小生も未来塾一期生の頃
から存じ上げていた。
講話では今ある企業に喝を与えるべく、刺激的な成功企業の例を盛り込みながら
経営者各位がどんな気構えで展望していけばよいかを一時間にわたって解説した。
掻い摘んで言えば
「
現在伸びつつある企業の共通点には、経営者が必死で考え、ニーズを的確に
捉えてきたことが挙げられる
」
と言うことらしい。
成功企業の例を挙げる鵜飼さん
その後に、森座長が進行役を買って出て、友部副座長を交えて会場の経営者との
討議があり、活発な意見交換や質疑応答が重ねられた。
会場からは
「
日立市の中小企業・下請企業は付加価値のつけ方が弱いのではないか?
」
との意見が出た。
森座長からは
「
各企業のノウハウを持ち寄り、ユニット化できるまでの体制は作れないのか?
」
との切り返しがあった。
そこで
「
単純な組合せは限界がすぐに来るので、より高度でニーズにあった付加価値
が欲しい
」
との意見があった。
ここで鵜飼氏が意見を求められ
「
横の連携を強く望む意味でも、未来塾などの基礎的な人脈作りは将来の共同
事業の足がかりとなるのではないか
」
と述べた。
僕は未来塾の第一期生ということもあり、また今日は日立青年経営者研究会の会長
としてもこの委員会にオブザーバー参加していたので一言物申したかったが、会場の
話題は日立市再生の大きな目的に移ったため、言葉を挟まなかった。
実際に青経では真剣な討議を重ねることで横の連携を図り、酒を酌み交わすことで
人間としての付き合いをしているので、未来塾だけを良いものと捉えられるのは心外
であったが、鵜飼氏には説明不十分であったのだ。
会場からは
「
未来の展望が見えることでのみ、中小企業の計画的な投資も行えるのだが?
」
と言う意見があった。
鵜飼氏は
「
産学官の連携が上手く行っているとは思えないが、カラ元気でもいいから
スクラムを組めるような素地が必要だ
」
と述べた。
会場からは
「
成功している一握りの企業だけを例に挙げても、沈みつつある日立市全体の
再生はおぼつかない
」
との意見が出た。
最後には
「
発注企業は5ヵ年計画を持っているのだから、それを聞き出すだけの営業的
努力が足りないのではないか?
」
との苦言も飛び出したが、否定は出来ないような気もした。
まとめとして鵜飼氏より
「
元気の良い小さなものづくりの会社には、ニーズを的確に探る人と、そこから
商品を考え出せる人がいると言う共通点があるので、各企業ごとに真剣に
考えた上で共同開発や共同受注への足がかりとして、ついては日立市全体
の産業再生に向けて歩んで欲しい
」
との言葉があった。
最後に森座長より
「
親も子も、元気になって再生したい
」
との熱い思いが語られて、懇談会はお開きとなった。
僕は会場にいた山本会頭や工業部会の磯崎部会長に挨拶をしながら、我が社の
行く末や青経の今後の展望を思案していた。
会場を出る間際、青経の先輩でもある友部副座長から
「
青経も、活動の内容や目的を変化させていく必要があるのでは?
」
との進言があり、全くその通りだと実感していた僕は苦笑いをした。
今までも、青経の仲間との付き合いは楽しくて実のあるものであったが、これから
先は経営者としての研鑽の色を濃くしていく必要を感じ、且つまた本音で語り合える
仲間としての大切さも実感した。
ところで、日立地区産業支援センターのHには「
青経のHP(整備中)
」とある。
一日も早く、青経としての発信基地を整備したいものである。
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