錫ってなあに?

 錫は、銀に似た色合いとともに、大変柔らかく、低温で溶ける
金属であり、熱伝導性が高い性質を持っています。
加工するには特殊な技術、道具類を用います。
また古来より、水を奇麗にする、香りを良くする、解毒製がある、
などと伝えられており、 食器、茶器、酒器を中心に各種の工芸品
があります。
金属の中では、かなり特殊な性質を持ったこの「錫」ついて1部を
ご紹介させていただきます。
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錫は金属の一種です。  
元素記号Sn。色は銀に近い「銀色」をしていて、かなり柔らかい
金属(鉛の次に柔らかい金属といわれています) です。
絵の具のチュ−ブに使われていたり、食品の缶詰の表面にメッキ
として用いられているのは、 酸やアルカリに侵されにくいという
性質があるからです。
加工しやすく、酸化変色しにくいので、 古来より食器を中心とした
日用品に用いられることが多かったようです。
近年では、タバコの包み紙に箔として多く消費されたことも有名です。
現在でも 、ブリキ缶の表面処理には欠かせない金属です。

「錫の兵隊」
 私達が、生まれて最初に接した「錫」。
たぶんそれは、幼いころに読んだアンデルセン童話「錫の兵隊
(アンデルセン原作)」ではないでしょうか? 知らない方は、ぜひ
読んでみてください。
「マッチ売りの少女」と並ぶ有名な作品で、錫製の片足の兵隊の
ちょっと悲しいお話です。
ただしこの話には、もっと悲しい逸話が・・・。
「錫」ってのがあまりにも知名度が低かったため、昭和70年代
までは「鉛の兵隊」と日本語訳されていたのです。。。
物語にも描写されていますが、比較的低い温度(セ氏約230度)
で溶解します。

錫はどこから?
錫は鉱石「キャシテライト」から取り出されます。
鉱石に熱を加えて硫黄や砒素などを取り除き、反射炉をつかって
精錬します。
日本で使われている錫は、ほとんどが外国から輸入されてきたもの。
錫の産出量の多い国は中国、インドネシア、マレーシア、ボリビア、
ブラジルの順です。 日本でもわずかながら産出されています。

錫は金属?
 金属として、有名な錫です。。
が、しかし!錫はホントに金属なのでしょうか? 化学の世界では、
錫は必ずしも金属とは言えないようです。
錫は金属の中でもかなりの特殊な存在で、ある温度を境界に
金属ではなくなることがあるらしいのです。
興味のあるかたは、科学専門誌をご覧くださいね。

科学的性質
人体に無害。有機酸に対しては耐食性があるが、無機酸には弱く
強烈に侵されます。
常温の大気中では変色せず、200℃以下ではほとんど酸化しません。
強アルカリの中では、水素を発生しながら溶解します。

錫の歴史
錫の歴史は古く、紀元前1500年ころにはエジプト王朝で使用されて
いたことが確認されています。
エジプト古代都市遺跡より発掘された「巡礼者の錫」という酒器が
最も古いものだそうです。
食器のほかに近世においては、パイプオルガンのパイプ部に必ず
用いられ、 キリスト教の広まりとともに加工技術も発達したようです。
また、日本では古代、白鉛(シロナマリ)、白鑞(シロメ)として諸器に
鋳造されていたことが 「倭名類聚鈔(931-937)」に記載されています。
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錫工芸品の製造技法について
鍛造
錫を成形する技法の一つ「鍛造」。
錫の板から金槌、木槌を使ってあらゆる形に作り上げていきます。
地金を叩くことによって錫の密度が高まり、固く、薄く、 耐久性に優れた
軽いものを作ることが出来ます。
この技法を使う職人は、今や数少なくなりました。
手間暇、高度な技術を要しますが、もっとも優れた成形技法の一つです。
金槌を使い分けることによって、いろいろな肌合い(鎚目)を表現すること
も出来ます。 

鋳造
鋳造/ろくろ成形。
石、土、その他耐熱性の「型」に溶けた錫を流し込み、 鋳込んだ錫の
塊を「ろくろ」を使って表面の鋳肌を削り取ります。
反復して同じ「鋳型」を利用します。
同じ物を数多く作るのに適していますが、 一つの製品に一つの「型」を
要するため、新しい形を創り出すには多少面倒です。
茶壷、茶托などの上から見て円いものは、だいたいこの技法によって
作られています。
反復生産に向く「生型」はタイヤキを作るように、手間暇はかかりますが
非常に複雑な形状も作り出せる「蝋型」で作る場合もあります。

いずれにせよ、鋳造というと型に金属を流し込むダイナミックな作業を
連想しがちですが、実際には原型のデザインに始まり、「型」の設計・
成形・焼成したり、「仕上げ」に気の遠くなる手間隙をかける、非常に
地道な作業がほとんどです。

仕上げ
前述の「鎚目」の他には、丁寧にろくろで仕上げた「ミガキ」、 酸や砂を
用いて表面を荒らす「白地」、「クサラシ」、 古びた色合いや、文様を出す
ために漆で着色する「イブシ」などがあります。
鏡面に極限まで近づけるために、 炭、砥石、研磨剤などを順に用いて
砥ぎ上げる「炭砥ぎ」などは、 仕上げの中でも最も手間暇を必要とする
作業です。