『メディア通信工学科』

村野井徹夫

メディア通信工学科は『メディア』を冠した全国唯一の学科として平成8年4月に産声を上げた。本学科は、従来の電気電子工学科(学生定員:編入学定員5名を含め90名)を改組して30名を本学科に移し、本学科の入学定員を50名として発足した。少子化により18歳人口が減少して行く中、実質20名の純増となったことは全国的にも非常に稀なケースであった。それだけに本学科に対する期待も大きいものと考えている。その後、完成年度を迎えた平成11年度には編入学定員5名が認可され、現在の学生定員は55名となっている。

このような入学定員50名に対し、当初54名の入学者で出発した第1期生であるが、正式な認可以前に実施した3年次編入学生8名を加えた62名のうち卒業資格を得たものは56名であった。

第1期生は、29名就職し、残りは4月に発足した大学院博士前期課程『メディア通信工学専攻』(定員21名)に24名、他大学の大学院に3名進学した。不況にもかかわらず、求人企業は就職希望者の10倍程度あり、大部分は希望の企業に就職した。しかし、最近の大企業は大学院修了生採用の方向にシフトしており、大学院をまだもっていない本学科の就職状況は難しい面があった。

4月に発足した大学院博士前期課程・メディア通信工学専攻はいわゆる3年からの『飛び入学』も実施し、1名が受験・合格し入学した。今後の活躍を期待している。

メディア通信工学科および大学院メディア通信工学専攻は「メディアシステム学講座」と「メディア機能工学講座」の2講座からなっており、“通信に立脚したソフトウェアとハードウェア”のキャッチフレーズにも現れているように、近代的な通信技術について教育・研究している。

以下に、各講座で行われている研究テーマを列挙する。

メディアシステム学講座

l         光情報処理、光エレクトロニクス

l         ニューロコンピュータ、マンマシンインターフェース、生物的情報処理

l         移動体通信、無線通信

メディア機能工学講座

l         光デバイス(光半導体ほか)、メディア機器(磁気記憶装置ほか)

l         電子回路、コンピュータ、信号処理

l         通信ネットワーク、通信方式

学科の教官数は発足当初8名であったが平成12年4月に16名全員揃った。発足時の教官のうち宮田教授〔昭和38年卒〕(当時工学部長)は、学長に就任され本学科を離れた。次の工学部長も本学科の安久教授が就任された。二人の慶事は悦ばしいことではあるが本学科としては痛し痒しである。

現在のスタッフは、教授が安久・藤井・村野井(昭和40年卒)・小山田・鹿子嶋・杉田(昭和49年卒)・梶原の7名、助教授・講師が赤羽・塚元(昭和57年卒)・山田・鵜野・矢内・打越・出崎の7名、助手が中村・尾保手の2名、技術専門職員として冨田(昭和45年短大卒)・綿引(昭和46年短大卒)の2名、計18名が勤めており、上に述べた内容の教育・研究を行っている。

このような近代的な内容の学科であるが、スタッフは元の電気工学科・電子工学科・短大研究棟で分散して研究しており、一日も早く学科独自の研究棟の建設が待たれる。

更に詳しい学科の内容は次のURLをご覧下さい。

 URL: http://www.dmt.ibaraki.ac.jp/