『こうすれば話せるCDイタリア語』の表紙写真と「はじめに」を紹介します。
末尾に、望月さんの他の著書・訳書のリストを置きます。 ・
望月紀子著 ・
発行所・樺ゥ日出版 ・
1998年5月1日 初版発行
定価(本体2600円+税)
は じ め に
―読者のみなさんへ―
このシリーズは、主として仕事で海外に赴任するビジネスマンとその家族の方のため
に作られています。そこにイタリアが加わったのは、日本とイタリアの交易が盛んにな
り、イタリア駐在者が多くなったためでしょう。 ・
しかし、イタリアについて言えば、ブームに似た現象にもよる、おびただしい数の渡
航者のなかで、ビジネスマンは数としては少ないはずです。本書で、ユミさんという若
いOLを主人公に選んだのは、女性の旅行者が圧倒的に多く、しかも団体のツアーでは
なく、自分の生活の現状に飽きたらなくなって、何かを求めて、ひとりで、イタリアに
行ったり、生活をしようとする人が多くなっているという理由によります。 ・
それでは、いま、なぜイタリアなのでしょうか。古代ローマ、中世、ルネサンス期の
歴史的遺産や名作、オペラ、時代を切りひらくデザイン、ファッションなどについて、
そして最近はイタリア料理について、多く語られています。美しいもの、おいしいもの、
古いもの、新しいもの、過去の遺産を守る精神などについて書き残された文学作品や旅
行記、さらにメディアの情報は枚挙にいとまがありません。いまイタリアは、かつての
はるかな憧れの国から、等身大のものとなりつつあります。そして、どこか怠け者らし
いけれど、自由に、人間らしく生活を楽しんでいるように見えるイタリア人の顔が身近
になりました。こういう時こそ、多くの人たちが、自分で考えて、イタリアの地を踏み、
イタリア人に接することに意味があります。与えられた情報とはちがう、現実のイタリ
アとイタリア人を知るために。さらに、これまで教え込まれ、与えられてきたものに対
して違和感を抱きはじめた人たち−とくに社会的制約の多い女性たち一が増えてきてい
るのも頼もしいことです。 ・
言葉は生活の手段であり、文化の礎です。自分を表現し、自分の求めるものを掴める
ように、イタリア語が少しずつ身につくように、この本は工夫がこらされています。文
法は会話を支える枠組みであり、近い将来、これまではほとんど触れることがなかった
かも知れない、イタリアのすぐれた詩や小説を読んだりすることができる日のための道
具です。それまで、イタリアに関する信頼できる歴史や文化の本を日本語でたくさん読
んでください。この本もそれらの一冊に加えられるようにと願っております。 ・
最後に、本書の執筆を勧めてくださった東京外国語大学名誉教授の河島英昭先生、イ
タリア語のチェックをしてくださったエルマンノ・アリエンティ氏、「カーロ・ミーオ・
ベン」を歌ってくださった吉永悦子さん、日本語録音を引き受けてくださった青山学院
大学の竹内祐子さん、写真をお借りした川村ちづ子さん、そして最初から最後まで細か
いチェックをしてくださった編集部の山田敏之さんに、心からお礼を申し上げます。・
1998年 春 ・
望月 紀子 ・
分 類 | 書 名 | 発行年 | 出 版 社 | 定 価 | 備 考 |
著書(共著) | 『イ タ リ ア』 | .. | 新 潮 社 | ¥1,900 | .. |
著 書 | 『ダーチャと日本の強制収容所』 | 2015年 | 未 來 社 | ¥2,000+税 | .. |
〃 | 『イタリア女性文学史』中世から近代へ | 2015年 | 五 柳 書 院 | ¥2,500+税 | 五柳叢書102 |
訳 書 | オリアーナ・ファラーチ『ひとりの男』 | .. | 講 談 社 | ¥1,900 | .. |
〃 | Dacia Maraini『シチーリアの雅歌―マライーニ・コレクション』 | 1993年 | 晶 文 社 | ¥1,900 | .. |
〃 | Dacia Maraini『帰郷シチーリへ』 | 1995年 | 〃 | ¥1,600 | .. |
〃 | Dacia Maraini『別れてきた恋人への手紙』 | 1998年 | 〃 | ¥2,500 | .. |
〃 | Dacia Maraini『イゾリーナ―切り刻まれた少女』 | 1997年 | 〃 | ¥2,300 | .. |
〃 | Dacia Maraini『メアリー・スチュアート』 | 2005年 | 劇 書 房 | ¥1,000 | .. |
〃 | アンドレーア・ケルバーケル『小さな本の数奇な運命』 | 2005年 | 晶 文 社 | .. | .. |
〃 | オリヴィエーロ・ディリベルト『悪魔に魅入られた本の城』 | 2004年 | 晶 文 社 | \1,900 | .. |
〃 | ナターリア・ギンツブルグ『夜の声』 | 2016年 | 未 知 谷 | \2,500+税 | 「五つの中篇」の2分冊の1 |
〃 | Dacia Maraini『ひつじのドリー』 | 2016年 | 未 來 社 | \1,800+税 | 10篇の教訓譚 | 共 訳 書 | 『イタリア抵抗運動の遺書』 | 1983年 1998年 |
冨 山 房 | \1,300 \1,500 |
冨山房百科文庫 | 〃 | 『ルネサンスの箱 渋沢龍彦文学館第一巻』 | 1993年 | 筑 摩 書 房 | .. | 全12巻 |