「医師の一言」            河越保久

 昨年私は三か所の病院に四か月に渡り入院をしました。初めての
経験に戸惑いを覚え、時には心の活力さえも失いかけたのでした。
その時肺炎、心臓肥大からくる呼吸困難にさいなまれ、苦しさの
あまり命の限界を考えるほどでした。

しかし呼吸器専門の医師がいないため、なかなか適切な処置はしてもらえません。
それが改善したのは二か所目の病院に転院してからでした。徐々に呼吸も楽になり
体力も少しずつ回復していきました。この調子なら退院も近々出来るのではないか
そう思うようになったのですが、なかなか許可が出ません。

 こんなに長く入院をして仕事はどうなるのだろう、家族にかけている負担や
不安を何とかしなければ、しかし焦ってもどうにもなりません。生きる自信を
失いかけたとき、主治医から、専門病院でカテーテル検査を受けるようにと指示が
あり、水戸の病院に転院したのです。三か所目の病院です。

 検査を終えた担当医師に「心臓はだいぶ元に戻ってきてますよ、不整脈も治せる
可能性があります」そう言われホットしました。さらにほほ笑みながらこう
言ったのです「河越さん、大丈夫ですよ仕事できるようにしましょう」。
その一言に目の前がパット明るくなり、心が軽くなりました。そして体中を暖かい
血が流れ始めたような感覚を覚えたのです。また仕事が出来る、そう思え小さな
自信が芽生えました。

 その後退院した私は、自宅療養後仕事を再開したのです。元のように長くは出来ま
せんがそれでも、働ける喜びを日々感じています。そしてこれまで支えてくれた
家族友人に感謝しています。

 医師の一言で私は、心も体も救われたのでした。

以上