第5次 電機連合議員団 海外調査団に参加して |
長谷川 修平 |
電機連合議員団の海外調査はこれまで4回ヨーロッパを訪問し、福祉や環境、エネルギーなどの調査を重ね成果をあげてきましたが、東欧、北欧を含めて欧州調査にひと区切りがついたことから、新たな展開として南半球の豪州を今回の調査先として選択しました。
オーストラリアは日本の20倍という広大な国土に1/6の2,000万人余りの人々が住んでいます。議会制度は母国のイギリス方式を導入しながら、18才以上に選挙権を与え、しかも棄権した場合には300ドルの罰金を課すという思いきった施策を導入しています。
さらにオーストラリアといえば石炭やウランをはじめとした世界有数の資源産出国で、消費国の日本は最大の貿易相手国であり、ジョン・ハワード首相が「日本はアジアにおける最大の友人」と言うほどの密接な関係です。
我々の調査は先ずシドニーから560km南西にあるリートンの米と柑橘類の生産施設を調査、首都キャンベラでは国の機関である環境・水資源省とディスカッション、メルボルンでは福祉関連施設を調査後、日本領事館でヒアリング、シドニーでは資源循環・環境配慮型のモデルハウスを調査など盛り沢山の内容で行なわれました。
しかし、実際調査をすすめていくと、オーストラリア一の穀倉地帯では丁度種まきの時期だったにもかかわらず、大干ばつのために田んぼに水はりが出来ず、米作りは全滅の状態でした。首都キャンベラでは蛾の大群が異常発生し、このような異常気象を目の当たりにすると、地球温暖化の影響が南半球でも広がっていることを痛感させられました。
オーストラリアはアメリカなどとともに、京都議定書への批准が出来ておらず、電源としては石炭による火力発電所が多くを占めるなど、地球温暖化対策としての原子力発電に対して理解が進まない国であり、環境・水資源省としてもCO2排出の抑制という命題にどう取り組むか頭を痛めているようです。
我々の帰国後、10月25日にはインドネシアでCOP13に向けた閣僚級準備会が開催され、2013年以降の温室効果ガス削減の国際的枠組みであるポスト京都議案書の内容について話し合われ、今後発展途上国と先進国の両方の側面を持つオーストラリアがどういう行動をとるか注目されています。
オーストラリアは9月のシドニーにおけるAPEC首脳会議で当時の安倍首相が「テロ特別措置法の延期に職を賭して取り組む」と明言し、その後の推移をみると政局に発展して注目を集めたところです。
折りしも、我々の訪問中に、ジョン・ハワード首相が11月24日の総選挙実施を明言しましたが、本文が皆様の目にとまる時には、オーストラリアでも政権交代がおきているかもしれません。これまで重要なパートナーであった日豪両国ですが、世界の注目が中国にむけられるなかマーケットとしてその存在をオーストラリアも相当意識しはじめております。今後日豪両国で新たな関係の構築が求められているなかで、電機連合議員団として何をなすべきか今回の調査を機に常に考えながら行動していくことが必要だと考えます。
最後に、今回の調査にご協力いただいた電機連合本部、単組、支部の皆様、エムハートツーリスト(株)をはじめとして、電機インハウス会の皆様に心から御礼を申し上げます。 |
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