「こんな夜更けにバナナかよ」

〜筋ジス鹿野靖明とボランティアたち〜

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 先日、藤枝氏に「この本を読んでみて」と半ば強制的に 「こんな夜更けにバナナかよ、筋ジス鹿野靖明とボランティアたち」を持たされた。

 私は、これまでこの本の存在を知らずにいました。第35回大宅賞、第25回講談社ノンフィクション賞を受賞しているので2年前には話題になった本だったと思います。出版は北海道新聞社。詳しくはこちらをクリックしてください。購入することもできます。

 この本は、フリーライターの渡辺一史氏が筋ジストロフィー患者鹿野康明個人そして多くのボランティアたちを取材しているうちに、いつの間にか取材者本人がボランティアとなっていく様子と鹿野氏本人とボランティアの心の葛藤を見事に書き上げている。

 筋ジストロフィーとは、「筋繊維の変性・壊死を主病変とし臨床的には進行性の筋力低下をみる遺伝性疾患」と言われている。筋力がしだいになくなっていくということで、身動きもとれず呼吸すら人工呼吸器に頼らざるを得なくなる。この疾患をもつ鹿野氏は、施設時代のトラウマがもとで在宅療養生活を目指す。自分一人では、ほとんど何もできないので常にそばに誰かいるという療養生活である。

 詳しくは、本を読んでいただくと嬉しい。医療・福祉関係に興味をもつ方を始め普段はなんの興味を持たない方にも読んでほしいと思う。

 藤枝氏は、「僕の目指す『自立生活』の事が書いてあります。実際の体験を本にしてあります。主人公になっている人の人間関係・性などが書いてあり、意外と楽しいと思います。」と言う。確かに、人間関係のドロドロした部分などが書いてありボランティアの心の現実が書いてあります。読んでいると、自分にも共感できるところが多いし障害者にも性はあるんだと再認識させられた。

 現実が書かれてあるだけに、すごく重い内容となっている。24時間365日常にボランティアが側にいる。最初は楽しいことが多く書いてあるのでいいのだが、読んでいるうちに、どうしていいのか分からなくなってきてしまった。確かに楽しい部分もあるんです。でも、大半は人間関係、心の葛藤。障害者と健常者の関係など深く考えさせられるところばかりです。

 藤枝氏と知り合う前にこの本を読んだとすれば、あまり深く考えずに済んだと思う。でも、知り合った上でこの本を読むと意味合いが違ってくる。勝手にそう思いこんでいるわけだが。藤枝氏は「自立生活」を決して諦めないだろう。彼は、「自立生活」を夢見て常に動いている。その手始めとして、この本を私に読ませようと思ったのかもしれない。

 人は一人では生きていけない、誰かの助けがいる。藤枝氏のように障害を持った人はなおさらのこと。障害者が人間らしく生きるには、もっと多くの理解者と協力者が必要である。これを読んでいるあなたにもできることがあります。自分を変える良いチャンスにもなりますよ。

 坪井 厚 

akky_friendship@yahoo.co.jp