2003茨城県芸術祭映像コンクール
入賞作品紹介と審査評

特  賞 「蓄音機でまちおこし」  ひたちなか市・小林 茂さん
● 今年の9月まで兵庫県で暮らしていたため、兵庫県柏原町のまちおこしの様子を取材することができた。蓄音機収集家が35年がかりで収集したが持病のため管理が出来なくなったので、これをまちおこしに活用できないかということになった。試行錯誤の結果、ミュージアムをオープンするまでの苦労をドキュメントにしてみた。

優  賞 「ボツワナ賛歌」  土浦市・岩城 英夫さん
● 長年、生物学の教師を勤めてきた私は、定年退職後、かねてあこがれていたアフリカの地を家内と共に訪れました。アフリカ最後の秘境といわれるボツワナのオカバンゴ大湿原でのエピソードを中心に、自然の中での野生動物の生態と、底抜けに明るいボツワナの人々との交流を家内の短歌とともに紹介しました。

優  賞 「将門伝説」    市川市・山口 弘二さん
● 市川からつくばまで車で通勤しているうちに、筑波山のふもとを昔駆け巡った平将門のことが思い浮かび、将門伝説を調べたくなった。調べ始めると、興味は尽きることがない。またいろいろな人たちに出会うことが出来た。それらをまとめたビデオです。

奨励賞「中染・阿弥陀像の謎を解く」
     日立市・藤来  稔さん
奨励賞 「厚かましき居候」
      日立市・中島  朗さん
● 金砂大祭礼の撮影で水府村中染に阿弥陀如来像があるのを知り、その建立の経緯を近くに住む関さんに聞いた。金砂合戦で討ち死にした先祖を供養するため740年前に鋳造されたという。● 自宅の天井にハクビシンが住み着くようになった。はなはだ迷惑な存在でさまざまな被害があった。しかし毎年冬を迎えるとやってくる居候がなかなか来ないとやはりさびしい。知らず知らず心待ちにしている自分に気づくのであった。

奨励賞「ニュージランド・サザンアルプスとクライストチャーチ編」
     日立市・原田 謙さん
奨励賞「竹炭を焼く人」
   ひたちなか市・外山 仁一さん
● ニュージランド南島最大の都市クライストチャーチは大聖堂を中心に発達した街。一般家庭を訪問したり、周辺を観光した。● 常陸太田市の山里で竹炭を焼いている香川さんは会社の技術職を退職されてから自力で炭焼き釜を作った。趣味でやっているとはいえ、より良い竹炭つくりのために技術者らしい探究心で取り組んでいる。

茨城新聞社賞 「天 童 子」
         日立市・清水 啓志さん
● 今年行われた大祭礼で、東金砂神社の天童子(6歳)が72年後の2075年に、72年前(今年)を思い出している設定でまとめた。72年の人生の重さとお祭の意義を問いかける。


審 査 評  今年も30点の応募をいただきました。内容的にはドキュメンタリー作品が多く、とくに人物をテーマにした作品に優れたものが多くありました。反面、アマチュアらしい個性あふれる作品が見られず、テレビ番組を見せられているようなむなしさも感じました。
 特賞の「蓄音機でまちおこし」は、主人公とその趣味の魅力を引き出し、それが他の人の心を動かし、まちおこしにつながっていく様子をうまくまとめてすばらしい作品になっています。
 優賞の「ボツワナ賛歌」は生物の先生らしいまじめさと、憧れの地を訪れた感動をうまく描いています。同じく「将門伝説」は広範囲にわたる取材のご苦労が伝わる作品ですが、もっと作者の主観がほしかったと思います。
 今年は72年に一度の西・東金砂神社大祭礼が執り行われ、これをテーマにした作品もたくさん応募されましたが、一集落に伝わる仏像の由来を絡ませた奨励賞の「中染・阿弥陀像の謎を解く」や、祭の主役の子どもにテーマを絞った茨城新聞社賞の「天童子」に、アマチュアらしい視点があり好評でした。
 日常の平凡な生活の中での、ちょっとした変化をエピソードとして捉えた「厚かましき居候」「捕ったのは何だろう」「サケのきた日」もそれぞれおもしろい作品でした。
 なお、「山村スケッチ」は40年以上も前の8ミリフィルムをデジタル化したもので、映像表現もすばらしく、あえて今、皆さんに見ていただきたい作品です。
            審査員:澤田 忠、篠崎修一郎、豊田正夫

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update:2002.11.10 by m.toyoda