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<bgsound src="ich.mid" loop=-1> 北アルプス  船窪岳、不動岳、南沢岳、烏帽子岳
2010年7月21日(水)〜23日(金)


”縦走路から見た烏帽子岳。”


[概要]
梅雨が明けた途端に連日猛暑が続く。 早速、涼を求めて北アルプスへ出掛けた。
今回は今まで歩いていない山域の船窪岳、不動岳、南沢岳 を通り、烏帽子岳から高瀬ダムへ降りるコースである。

メインルートから外れたこのコースは歩く人も少なく、雄大な景色を眺めながら静かな稜線歩きを楽しむことができた。



[メンバー]  :単独
[山域&山名]:北アルプス(長野、富山)、船窪岳(2459m)、不動岳(2595m)、南沢岳(2625m)、烏帽子岳(2628m)
          (登山口からの累積標高差約2550m)(延べ距離、GPS計測25km)
[天候 ]      :晴れのち曇り
[行程]
(7/21):七倉登山口(1060m)7:20 - 12:00鼻突八丁- 13:30船窪テント場(テント泊)
(7/22):船窪テント場 5:00 - 7:00船窪岳7:15 - 10:15不動岳10:30 - 12:10南沢岳 - 13:10烏帽子岳 - 13:50烏帽子小屋(テント泊)
(7/23): 烏帽子小屋 7:10 - 10:10高瀬ダム


一日目:七倉登山口〜船窪テント場


7:20   七倉登山口

七倉の駐車場に車を置き、登山指導所で登山届を提出して出発。


ゲートを通り、トンネルの入口を右折し暫く行くと登山口の標識がある。

登山口から七倉尾根の稜線に出るまで約400mの急登が続く。 久し振りに担ぐテント泊装備は肩にズッシリと食い込み、 ゆっくり歩いても汗が噴き出してくる。

唐沢ノゾキと呼ばれるピークから七倉尾根の稜線となり、少し勾配が緩やかになってやっと一息つく。

尾根を忠実にトレースするように付けられた登山道は樹林で覆われて比較的涼しい。 時折見える七倉ダムを見下ろしながら 高度を上げていく。

2000mからは再びかなりの急登になり、木製のハシゴが連続する。 鼻突八丁と称される場所だ。





        ”鼻突八丁の急登。”


植生がハイマツに変わる2300m辺りから勾配は緩やかになり回りの景色が視界に入ってくるが、残念ながら上の方はガスで覆われている。





        ”2300m付近から七倉ダムを見下ろす。”







        ”チングルマの群落。”


2453mのピークを過ぎてハイマツ帯を暫く行くと船窪小屋へ出た。


テントの申し込みをしてビールを購入する。 本日の小屋の宿泊者は余りいないように見受けられた。

周りがガスで覆われて視界が余り良くないので、七倉岳はパスしてテント場へ向かう。 テント場は小屋から少し下って20分程歩 いた先にあった。 



13:30   船窪小屋テント場

テントが5張程度張れる小さなテント場に今日は他の宿泊者は無く、静かな宿泊が出来そうだ。

水場は5分ほど降りたところに良質の伏流水が出ているが、ここは足場が悪く、ロープを頼りにして水を汲む。 水場への入口に「危険につき夜間の水場利用は禁止」 と書かれている。

ガスで眺望は得られないし、することがないので、早めの昼、夕兼用の食事を準備。 初日の食材は保冷ケースに入れて担いできた上級品だ。

土用の丑の日も近いので、鰻丼である。

ビールと持参したアルコールを飲みながら食事をゆっくり楽しんだ後は、早目にテントに潜ってラジオを聞いていたらいつのまにか寝てしまった。


二日目:船窪テント場〜船窪岳〜不動岳〜南沢岳〜烏帽子岳〜烏帽子小屋


5:00  船窪テント場出発


テント場付近からは朝日が当たり始めた今日の行程の山並が見える。 今日も登山に絶好の天気である。





        ”朝のテント場から不動岳と烏帽子岳への稜線。”






        ”同じく、テント場から槍ヶ岳と野口五郎岳方面を遠望。”


テント場からは左が崩壊して切れ落ちたそのすぐ脇に付けられた急な登山道を下る。
崩壊斜面は年々浸食されているようで、登山道は少しづつずらして付け替えられている。







        ”朝日を浴びる立山と雲海の黒部湖。”


約30分下ると最初のコル、針の木谷への分岐の船窪乗越である。 この縦走路の中の最低のコルで、標高は2190m。


このルートは平面地図上では簡単そうに見えるが、実際は大きなアップダウンが幾つもあるので 体力を要する。

ここからまず船窪岳まで150m登って100m下り、更に250mの登りである。

最初のピークは2341mで、船窪岳の標識が立っている。 この辺り全体を総称して船窪岳と云っているようだ。






        ”船窪第一ピークから高瀬ダム湖と槍、常念方面。”






        ”不動岳と、左は野口五郎岳方面。”


ここから更に120m登ったところにこの辺の最高点、第二ピークの標識がある。


ここからコースは南方向に折れ、コメツガの樹林帯の中を行く。 眺望は得られないが、黒部湖から吹き上がる涼風が大変快適である。
樹林帯の切れ間から不動岳とそこへの稜線の全容が眺められる。


2400m辺りから植生は灌木とハイマツになり、右手に立山連峰、黒部湖を眺めながらの気持ちの良い稜線歩きに変わる。





        ”不動岳が段々近づいてくる。”






        ”右手に見える立山連峰と黒部湖の平の渡し付近。 左端のコルはザラ峠。”


振り返ると少し雲がかかった針の木岳と蓮華岳が大きく姿を表す。 この方角から見る針の木岳は堂々としている。





        ”針の木岳(左)と蓮華岳。”


やがて不動岳の頂上に到着。 頂上標識は2595mだが、すぐ手前の岩のほうが少し高い。


10:15  不動岳


北側から見ると荒々しく見える不動岳だが、頂上から先はなだらかな山容で別の顔を持つ。

この付近から見る立山は殊に素晴らしい。 この景色を見ただけでも今回の山行の価値は十分だ。





        ”不動岳から見た立山連峰とシャクナゲ。 中央は数年前にスキーで降りた黒部湖まで落ち込む御山谷。”






        ”南西遠方に目を向けるとカールを抱いた薬師岳の大きな山容が見える。”


ここまでで今日の行程の半分以上は過ぎたことになる。 不動岳頂上から暫くはハイマツの中のなだらかな下りが続くが、やがて少し急な下りに変わり 南沢乗越まで200m下る。

南沢岳へは左側の濁沢への崩壊斜面の脇に付けられたルートを慎重に登る。  気温はそれ程ではないと思われるが、この時間になると日射が強烈で、砂礫地からの照り返しで肌がジリジリ焼ける感じである。

南沢乗越から230mを登って南沢岳へ出た。

頂上まで来るとまた違った景色が飛び込んできた。 花崗岩崩れの砂礫地の向こう遠方に水晶岳とその稜線が広がる。





        ”南沢岳から南西方向。遠方の水晶岳(中央)と赤牛岳(右)”



烏帽子岳手前の窪地は幾つかの池、地塘があり、高山植物が全面に広がって素晴らしい景観を示している。





        ”四十八池付近の花畑。”



烏帽子岳手前の分岐にザックを置いて、烏帽子岳を往復する。 ここまで来て今日初めての登山者数名とすれ違う。 ここは裏銀座縦走の起点の山である。





        ”手前の分岐から見る烏帽子岳(2628m)。”


この山は北アルプスの中にあっては標高はそれ程高くないので、近くまで来ないと姿は見えないが、大変特徴のある山だ。
右側から回り込むようにして急峻な鎖場を経て頂上に立つ。



13:10  烏帽子岳





        ”同じく野口五郎岳方面と右の水晶岳。”


分岐まで戻り本日最後の行程のなだらかな砂礫地を進むとまもなく烏帽子小屋へ到着。
ここは裏銀座メインルートなので、小屋は多くの登山者で賑わっていた。


13:50  烏帽子小屋

テント泊の申し込みをし、ついでに冷えたビール(600円)を買って一気飲み。 渇いたのどにしみわたる。





        ”烏帽子小屋前に咲くイワギキョウ”



日陰に設営したテントの中で暫く昼寝した。 これが涼しくて大変気持ち良い。

その後早目の食事をした後 、小屋の後ろの高台で夕暮れの景色を暫く眺める。 この時間は例年なら震える気温だが、今日は寒さは感じない。





        ”餓鬼岳方面と赤く染まる雲。”



三日目:烏帽子小屋〜高瀬ダム


7:10  烏帽子小屋テント場出発

裏銀座ルート三ツ岳方面への縦走者たちは、まだ薄暗い4時ごろから続々と出発して行った。

私は今日は下るだけなので、ノンビリと準備して出発。

北アルプス三大急登と云われるこのブナ立て尾根の登りは何度か経験しているが、下りは初めて。 ヒザを痛めないようにゆっくりと下る。

朝のうちはガスで見通しはあまり良くなかったが、涼しいのが嬉しい。

暫く下ると、南沢岳と不動岳の間の濁沢へ落ち込む崩壊沢が目に入ってきた。 手の付けようがないような崩落である。


涼しかった尾根も高度を下げるに従って気温の上昇を体感するようになる。
今日も下界は猛暑なのだろう。


やがて濁沢と不動沢の合流する砂礫の堆積地に降りて急な下りは終了。





        ”不動沢の堆積地と高瀬ダム。”


不動沢に架かる長い吊り橋を渡り、それに続く長いトンネルを抜けるとそこはダムの堰堤であった。




10:10  高瀬ダム

ちょうど大町まで下る3人乗りのタクシーがいたので、七倉まで相乗りさせて貰って駐車場に戻った。



  咲いていた主な花々。



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