山スキーのページ

<bgsound src="hosinosekai.mid" loop=-1> 那須連峰  甲子山〜旭岳
2010年2月24日(水)


”甲子山から見た旭岳(1835m)。”

[概要]
冬の三本槍ケ岳や、スダレ山から北方を眺めると、真っ白に輝く鋭鋒があり、登高意欲をそそる。
那須連峰の北部に位置する旭岳である。

最近まで、夏の登山道も無かった山で、 標高は1835mと、とりわけ高くないが、独立峰的存在で、特に冬の姿が素晴らしくこの時期に一度訪れたいと思っていた。

アプローチが長くアップダウンもあるので、 山スキーには余り向かないだろうが、晴天が約束されたような天気図だったので、眺望を楽しみに出掛けた。



[メンバー]  :単独
[山域&山名]:那須連峰(福島)、甲子山(1549m)、旭岳(1835m)
[天候 ]      :快晴
[行程 ]      :甲子トンネル脇(950m)6:20 - 8:55甲子山 9:10 - 11:10旭岳1750m地点 - 11:30旭岳と甲子山のコル11:45 - 12:20甲子山12:40 - 13:20登山口



6:20   甲子トンネルの西郷側。

一昨年開通した甲子トンネルの西郷側の駐車スペースに車を置かせてもらい、出発。  


いきなりの急登だが、朝の冷え込みで雪が締まっているのでなんとかシール登高が可能。

数日前と思われるスノーシュー団体のトレースがあるが、 これは急斜面を直登しているので残念ながらスキーではこの跡は追えない。



急斜面なので、夏の登山道は極端な九十九折になっている。 スキーではその道形を突切って大きくジグを切りながら高度を上げる。

約300mの急登のあと、傾斜は緩やかになって猿の鼻と呼ばれる地点に到着。 面白い名前だ。  地形図を見るとそんな形をしているからだろうか。






     ”なだらかな猿の鼻まで登って、ここで小休止。”



ここから甲子山まではヤセ尾根の緩斜面。 登りは大変楽だが、灌木が混んでいるので、下りはあまり楽しくはなさそう。

甲子山が近くなると樹木が段々まばらになってきた。 この辺りはドウダンツツジと馬酔木のトンネルが出来ているところだ。





     ”甲子山への最後の登り。 左手に三本槍ケ岳が見え始める。”



8:55   甲子山。


甲子山は旭岳の展望台のような位置にあり、眼前に旭岳が大迫力で広がる。





     ”旭岳の北東斜面。 このあと左側の稜線を頂上直下80mまで登った。 ”





     ”三本槍ケ岳、スダレ山方面。 ”





     ”北方、大白森山、鎌房山。 ”

休憩のあと先へ進む。 コルまで約60mの下り。 最初はヤセ尾根の雪庇が続き、その後下りの急斜面である。  僅かな距離なのでシールのまま下る。

甲子山の先の小ピークでスノーシューの踏み跡は途切れた。 ここから引き返したようだ。


コルまで下って、坊主沼への新道方面を進む。 といっても標識は雪に埋もれて見えないので適当に進む。





     ”コル付近から見た旭岳。”



コルから旭岳の東面の肩までは地形図では大きく表れていないが、幾つもの小尾根を越えて行く。 このあたりに来ると春の強い日射しを 浴びて雪が段々緩んできた。

急斜面の雪は底が堅く、表層20cm が緩んだ新雪の為すぐに崩れて大変厄介物だ。



旭岳の東面の下まで来ると大きく雪原が広がる。





     ”歩いてきた甲子山方面を振り返る。”





     ”東面の下から旭岳を見上げる。”

下から見る旭岳はここから簡単に登れそうに見えるが、実際はかなりの急斜面で、上の方は複雑な形状をしている。

シールとスキーアイゼンで行ける所まで行ってみよう。 この斜面はいつも風雪に晒されているためか、雪面は比較的締まっている。



1700mまで登ったらシールでは限界となる。 ここにスキーをデポして アイゼンとピッケルで更に上を目指すことにする。






     ”急斜面の途中から坊主沼方面を見下ろす。 大きな雪原が広がる。 テントを張ってキャンプが出来そう。”


勾配は益々急になる。 感覚的には大したことないと思っていても周りの景色を見ると、足がすくむ。





     ”45度前後の急斜面は迫力満点。 遠方は右から、小白森山、二岐山、小野岳”

更に上を目指せそうだが、雪質も不安定で、頂上直下の岩と雪の段差越えはアイゼン、ピッケルだけの単独行にはちょっとリスクが多い。

無理をすることはないので、ここで下山とする。




11:10   旭岳 1750m 地点。






     ”1750m地点から坊主沼、三本槍方面を眺める。”


1700mのスキーデポ地点まで下る。 安全の為ピッケルで確保しながら、バックステップで一歩一歩。
スキーデポ地に戻り、スキーを装着するのも、そう簡単にはいかない。 雑にやると滑落する。 時間をかけて足場を踏み固めて慎重に。

さてよいよい滑り開始。 45度を越す急斜面を一気に滑る。 なーんて、恰好のいいもんではない。

まずは急斜面を斜滑降でスタート。   あまりにも急なので、なかなかターンに踏ん切りがつかない。

そのまま斜滑降を続けていてはいつまでも解決にはならない。 えいヤッとターン 。 一度ターンすればあとは何故か大丈夫。
5ターンほどで100mほど降りて見上げる。 下から見ると大したことはないのだが・・・・・





     ”急斜面の滑り跡を振り返る。”


急斜面の滑降後はそのまま変化のある斜面をコルまで滑る。 登りに苦労した小尾根も滑りは快適。

ここで、今日初めての大休止。



11:30   旭岳と甲子山のコル。

スコップで、堀コタツよろしく、足のスペースを掘下げて、しばし休憩。 なだらかな雪原はおとぎ話のようなメルヘンチックな雰囲気。

暫く、ここでボーッと過ごす。 しあわせな気分。






     ”メルヘンチックな雰囲気の雪原。 林の向こうに甲子山が見える。”


休憩のあと甲子山への登り返し。 たった60mだが、意外にきつく感じる。



12:20   甲子山。

甲子山で素晴らしい眺望と別れて、  最後の下りに入る。

ここから暫くは狭い緩斜面で、灌木も多いので、最初は尾根の北側斜面のブナ林を斜滑降で下る。 こちらは雪質もよく 快適。

甲子峠への分岐付近から少し広くなった尾根に戻る。 緩斜面でそれほどスイスイとはいかないが、 それでも登りに比べたら、下りは遥かに楽で、短時間で猿ケ鼻へ到着。


ここで、最後の準備のあと、急斜面の滑りが始まる。

斜度は40度くらいあろうか。ブナ林の中の適当に変化がある急斜面を滑り出す。
案の定、滑った後から表面の緩んだ雪が20cmくらいの厚さでスラブ状にザーッとずり落ちて行く。  斜滑降を交えて落ちる雪を避けながら高度を下げる。

100mほど下ると、斜度が少し緩くなったのか、ずり落ちはなくなった。 トンネル右手前の駐車場まで滑り降りて終了。


13:20   トンネル脇駐車場。

トンネル脇にある国道の管理事務所前に関係者がいたので、駐車場利用のお礼挨拶をして、帰途についた。(ここは関係者以外駐車禁止とある)

旭岳はもう少し雪が落ち着いてザラ目の時期に行けば、頂上までの登りも、そして滑りも快適に出来ると思われるが、その時期は登山口から猿ケ鼻までは 夏道歩きとなるだろう。 どちらが良いか。




2010年山行一覧表   山スキーの記録   那須、日光、尾瀬、山行記録   Home