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<bgsound src="s_song.mid" loop=-1> 南会津  大戸沢岳 - 北東尾根
2010年3月20日(土)


登り1553m付近から見た大戸沢岳

[概要]
南会津シリーズの2回目は、大戸沢岳。 昨年は行きそびれてしまったので、今年は早めに出掛けてみた。

冬から春へ変化するこの時期の山の景色は美しい。 しかし雪質は一番難しい時期でもある。
全国的に雪の少ないこの冬だが、南会津のこの山域は別格で例年通りの豊富な積雪が迎えてくれた。
斜面は直近に降った新雪が気温の上昇で重くなり、滑りは難しかったが、手つかずの大自然を独り占めした、そんな一日だった。


[メンバー]  :単独
[山域&山名]:南会津(福島)、大戸沢岳(2089m)
               (登山口からの標高差、登り、下り:1249m、合計距離:11.5km)
[天候 ]      :晴れ
[行程 ]      :下大戸沢スノーシェッド脇(840m)6:40 - 8:30 1553mポイント - 10:30大戸沢岳11:00 - 12:15下大戸沢スノーシェッド


6:40   下大戸沢スノーシェッド脇を出発

今日は気温がかなり上がるという予報だが、この時間は-2℃。  雪は適度に締まってシール登高にちょうど良い状況である。
昨日入ったと思われるトレースが幾つか目に入る。

尾根に取り付くと、いきなりの30°前後の急登になるが締まった雪にスキーアイゼンが効いて比較的楽に登ることができる。

風もない0℃前後の山はそれほど寒くなく、   早くもアンダーシャツとソフトシェルだけの軽装で十分。

急登を1300m付近まで登ると右手の木々の間から三岩岳が見え始め、やっと高度感が味わえる。





        ”1300m付近の急登を行く。右奥に三ツ岩岳が少し見える”


1350mから斜度はグッと緩やかになり、取り付きから400m続いた急登がやっと終わってヤレヤレ。


1386mのなだらかなピークで小休止。




        ”1386m付近からみた三ツ岩岳”


尾根はここから南西に向きを変え、ゆるやかな登りが続く。
昨日降った新雪が数cmほど積もっているが、強い日射しを受け早くも表面は水分が多くなってきた。

やがて1553mのピークに到着。 ここまでは快調に登ってきたが、この先に500mの登りが待ち構えている。


8:30   1553mのピーク


ここから見える大戸沢岳は大変優雅な姿だ。 見た目は簡単な登りに見えるが、なかなか侮れない斜面であることは経験済。





        ”1553m付近から大戸沢岳を見る”


1553mから少し下り、ヤセ尾根になる。 少しづつ高度が上がり1600m付近の尾根が一番細く、それから先は500mの急登になる。
大戸沢岳から南東に延びる尾根も素晴らしい。 いつか滑り降りてみたいものだ。





        ”1600m付近のヤセ尾根と左側の南東尾根”


1600mから始まる急登は表面の雪が気温上昇で緩んできてはいるが、なんとかシール登高が可能。

無理すれば直登も可能な斜度だが、足の負担を軽くするように大きくジグを切りながら登る。  春のお彼岸の日射しは強いので日焼け止めを真っ白に塗り込むが汗で流れ落ちてしまう。





        ”1800m付近から登ってきた尾根を見下ろす”


1800mから上は無木立の大斜面である。 昨日滑ったと思われるシュプールがいくつか残っている。





        ”頂上直下の大斜面と三ツ岩岳”


やがてなだらかになり、左に回りこむようにして進むとまもなく大戸沢岳の頂上付近に到着。


10:30   大戸沢岳頂上

穏やかな天気だが、さすがに頂上は風があり、寒い。 先週に比べ気温が高い分、遠方は霞んでいる。




        ”大戸沢岳頂上から会津駒ケ岳と中門岳へ続く稜線”


頭だけ出したシラビソの樹の陰で風を避けて休憩しゆっくり腹ごしらえ。

休憩の後、靴の金具を締め直していよいよ滑降開始。 中ノ沢も良さそうだが、この時期の沢は気温が高く雪崩のリスクがあるので、 2年前と同じ北東尾根を目指す。
雪質は表面が重く、下が軟らかい新雪で私にとってはなかなか難しい。





        ”頂上直下を滑る。”






        ”これから滑り降りる北東尾根。標高差が約1200mある。”


30度前後の素晴らしい斜面の連続である。 ザラ目であれば素晴らしいのだが、残念ながらちょっと重い。





        ”1850m付近から見た三ツ岩岳、三ツ岩沢、中ノ沢” 白い壁が素晴らしい。 あの急壁を滑り降りる人もいる。


下るに従って雪質はさらに重くなる。 少しゆるんだモナカという感じで、急斜面でも後体重気味にしないと引っ掛かってターンが難しい。





        ”1800m付近から上方を振り返る” 






        ”さらに下って1750m付近から見下ろす。” 登った尾根が右に見える。 


高度差1200mを越す連続斜面は長い。 滑ってもまだまだ斜面は続く。 重い雪の為休み休み滑らないと脚が悲鳴をあげる。






        ”1600m付近まで下るとブナの木が目立つようになるが疎林で滑り易い斜面だ。” 


1400m付近からは更に緩んだ雪になって、滑ったあとからスラブ状に雪がズリ落ちてくるので、巻かれないように注意しながら滑る。
そのまま尾根筋を下ると左側に雪庇があって降りるのに苦労するので、1250mから早めに進路を左に変えて尾根を外れる。






        ”1150mで中ノ沢へ降りる。” 右の尾根は雪庇が発達している。 


ここまで降りれば後はゆったりと滑るのみ。 水を含んだ重い雪に踏ん張りながら最後の滑り。





        ”三ツ岩沢(右)と中ノ沢を振り返る。” 


コースの最後は下大戸沢を渡渉。 今朝見た時はたいした水流ではなかったが、気温が上昇し増水している。
スキーを対岸に放り投げて、飛び石をなんとか渡って対岸に。 3月のこの時期でもかなりの水流が出ているので、4月になったら渡渉は難しくなるだろう。



国道沿いの登山口に戻って本日の行程は終了。
今日の雪質は重かったが、大戸沢岳は自然其のままの素晴らしい山だ。


12:15   下大戸沢スノーシェッド



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