山歩きのページ

<bgsound src="scar.mid" loop=-1> 南アルプス 
聖岳〜赤石岳
2006年7月31日(月)〜8月2日(水)


 赤石岳の登りから”左から聖岳、兎岳、中盛丸山、大沢岳”


[概要]
子供の頃、冬の晴れた日に浜名湖畔から遠く赤石山脈を眺めた。 標高は富士山より遥かに低いにも関わらず、ひと際白く輝くその頂は神々しく、今でも強い印象として残っている。
今回は、故郷、静岡の山、そして日本で一番南にある3000m級の山をゆっくりと歩いた。
南アルプスでも特に南部の山々は、見える場所が限られているので、眺める機会は少ない。 長いアプローチを耐え、その山のふところに飛び込んで初めて、じっくり味わえる山である。

[メンバー]  :単独
[山域&山名]:
南アルプス(静岡、長野):聖岳(3013m)、兎岳(2818m)、中盛丸山(2807m)、赤石岳(3120m)
[天候 ]      :晴れ時々曇り
[行程]
(7/31): 聖岳登山口(1140m)8:40 - 11:40滝見台12:10 - 13:20聖平小屋(テント泊)
(8/1): 聖平小屋5:15 - 7:15聖岳(3013m)7:45 - 9:30兎岳(2818m)10:00 - 11:50中盛丸山 - 13:05百間洞山ノ家(小屋泊)
(8/2): 百間洞山ノ家5:10 - 5:55百間平 - 7:20赤石岳(3120m)7:50 - 9:30富士見平 - 10:00赤石小屋10:20 - 12:30椹島ロッジ

一日目:畑薙ダム〜聖平小屋
畑薙第一ダム手前に東海フォレストの駐車場がある。長かった梅雨がやっと明け、 夏山シーズンを待ちかねた登山者で駐車場は満杯である。
7:40の臨時送迎バスに乗り、登山口までの悪路を中型バスで行く。聖岳登山口に8:30に到着。ここまで家を出てから7時間余、ひと仕事である。


8:40   聖岳登山口を出発する。









  ”聖岳登山口”
 



この登山口で下車したのは私一人だけ。殆どの人が椹島から、赤石小屋か千枚小屋へ向かうようだ。 登山口からの取り付きは、いきなりの急登で、早速汗を絞られる。幸い樹林帯なので、日射しは無く涼しくて有り難い。 杉、檜の植林帯を約300m登ると勾配は緩やかになり、 ここからは等高線に沿って聖沢吊橋までゆっくりと歩く。

聖沢吊橋は小さな橋で渡る時に揺れる、それに踏み板が老朽化して抜けそうでスリル満点。
橋を渡って右岸で、小休止。沢の水で喉を潤す。
ここからは再び急登である。初日の重い荷物を担いでカエデ、ブナなどの広葉樹林の中を黙々と登る。 2011mの乗越を過ぎると勾配は緩やかになり、小さなアップダウンを繰り返して、 やがて滝見台に到着。

11:40   滝見台。









  ”滝見台から滝を覗く”
 



滝見台はせり出した岩場で、対岸の滝がよく見える。ここでザックを下ろし遅い昼飯。木立越に奥聖岳の頂上がかすかに見える。

水場を過ぎ、ガレ場の後は緩やかな尾根道である。登山道脇に色々な高山植物が咲き、疲れを癒してくれる。 沢に沿って緩やかな登りを行くと今日の幕営地、聖平へ出た。

13:20   聖平小屋。

この地は茶臼岳、赤石岳、光岳からの合流点にあたるので小屋は結構賑わっている。テントの受付後、 まずはビールを購入し喉を潤す。
発電棟から少し離れた静かな場所にテントを設営。この時間テント場はまだ数張のテントのみ。








  ”聖平のテント場”
 



その後、夕食の準備。今日は重量を減らす為に、レトルトのスキヤキ丼。これをツマミにウイスキーを少し飲み、 暗くなったので、早めに就寝。
二日目:聖平小屋〜聖岳〜兎岳〜中盛丸山〜百間洞山ノ家
5:15  聖平小屋出発

今日は今回の行程で一番きつい歩きになる。幸い天候は良好。
小屋を出てしばらくすると、上河内岳からの縦走路と合流。この辺りは伊勢湾台風の時に倒れた倒木、切り株 が点在して、その時の台風の凄さを今も物語っている。








  ”聖平。倒木が多い”
 



更に進み西沢渡からの合流点、薊畑分岐。光岳方面が雲海の上に浮かぶ。








  ”雲海と光岳方面”
 



ここからいよいよ聖岳への急登が始まる。聖平の出発地から約800mの登りである。
2500mを過ぎると森林限界を超えて視界が開ける。
スリップして歩きにくい登山路である。2662mのピークは小聖岳と呼ばれている。








  ”小聖岳。聖岳方面はガスに包まれている”
 



途中の水場は涸れて水は出ていない。聖平でタップリ水を汲んできて正解である。
道は砂礫地になりちょっと歩きにくい。最後は聖の大斜面をジグザクに登り、 最南の3000m峰、聖岳に到着。

7:15  聖岳

深田久弥が 「一時間以上も頂上にいて、あきることがなかった。」 と云った聖岳頂上。 ノンビリと景観を楽しむ。
幸いに今まで掛かっていたガスが切れてきた。 赤石沢の向こう正面に大きな赤石岳。その左に平坦な百間平、更にその左の鞍部が百間洞山ノ家。




        ”左から兎岳、中盛丸山、大沢岳、百間平、赤石岳”

10名位の登山者が頂上にいたが、大部分は其のまま下山するようだ。ここから先に進む人は少ない。 いつまでいても飽きることは無いが、きりが無いので腰を上げて、先に進む。ここからの行程もかなりきつい。
兎岳へは大崩壊地の縁に沿って約400m下り、それから200m登る。








  ”聖岳の下りから見た兎岳”
 左側が大きく崩壊している。







        ”大きな山容の赤石岳を右に見ながら進む”

兎岳への道も中々厳しい。コルまで下ったあと、余り良くない道を登る。








  ”兎岳への登り”
 



避難小屋を過ぎると兎岳の山頂である。この山頂は広い。

9:30  兎岳









  ”兎岳の頂上”
 三角点はちょっと奥に入ったところ。







        ”兎岳の頂上から聖岳を振り返る。右の急な斜面を登り、手前の厳しい道を下った。”


兎岳からの急斜面を過ぎると、稜線が続き、いくつかのアップダウンを越えて行く。








  ”兎岳を振り返る”
   



登山道脇に様々な花が咲いて目を楽しませてくれる。








  ”ハクサンイチゲ。後面は赤石岳”
   




中盛丸山はピラミダルな山でこの登りも又きつい。








  ”中盛丸山”
   




11:50  中盛丸山









  ”中盛丸山からの赤石岳”
   











  ”大沢岳。頂上は踏まず、手前の新道を行く”
   



大沢岳は巻き道を行く。やがて鞍部に建つ百間洞山ノ家へ着いた。

13:05  百間洞山ノ家

山小屋は三階建てで大変立派な造りである。 椹島-畑薙ダムの送迎バスに乗せて貰う条件の山小屋一泊。この小屋に宿泊した。 小屋泊はやはり楽チンである。 北アルプスの山小屋は混雑が激しいが、ここは登山者もそんなに多くなく比較的ゆったり出来る。 それにこの小屋の名物の「揚げ立てのトンカツ」はたいへん旨い。


三日目:百間洞山ノ家〜椹島ロッジ
5:10  百間洞山ノ家出発









  ”朝の百間洞山ノ家”
   



今日も天気は良さそうである。 最初の250mの急登を過ぎると百間平に出る。広々とした大変感じの良い草原である。
百間平から暫くはアップダウンの少ない稜線歩きである。 やがて赤石岳への登りに掛かる。ガラガラの岩場で浮石に注意しながら歩く。
ここから聖岳の展望が素晴らしい。




        ”赤石岳の登りから見た聖岳”圧倒される大きさである。

遠くから見ると、きつい登りに見えたが、意外にすんなりと赤石岳頂上へ立った。
避難小屋はすぐ目の前にある。避難小屋と云っても、かなり立派で、軽い食事も注文することが出来るようだ。








  ”赤石岳避難小屋”
   




7:20  赤石岳

赤石岳頂上は360度遮るものは無い。避難小屋の管理人が頂上で色々説明してくれた。「こんな良い天気は月に数えるしかない。お客さん 達は運が良いよ」と。



        ”赤石岳から北方の山々。悪沢岳とその向こうに間ノ岳、左遠方は仙丈岳”

大休憩のあと、赤石小屋方面へ進路をとる。ここから椹島まで2000mの下りに備えてスポーツタイツをはく。
小赤石とのコルから、あまり足許の良くない急斜面を、右に大きなカールを見ながら下っていく。








  ”赤石カール”
 



下り切ったところに小沢の水が集まる格好の水場がある。冷たい水で喉を潤す。この回りは、今を盛りといろんな花が咲いている。








  ”沢の周辺のお花畑”
 



ここから左側をトラバース気味に富士見平へ向かう。 途中足場の悪い部分はパイプを組み、板が渡してある。 道が狭いので意外に歩きずらい。
やがて平坦な地形に出、これがこの大倉尾根で一番の眺望を得られる富士見平である。

9:30  富士見平

富士見平はまさに格好の展望台である。残念ながら雲に隠れて富士山は見えないが、悪沢岳、赤石岳は手に取るように見える。




        ”荒川三山。右から悪沢岳、中岳、前岳”





        ”赤石岳(左)と吊り尾根。右は小赤石岳”

ハイ松の中を歩いて暫く行くと赤石小屋へ出た。

10:00  赤石小屋

ここで泊まる予定であったが、 まだ時間は早いので、そのまま椹島へ下りる。
ここから左手の沢越しに赤石岳方面が迫って見える。
樹林帯の中の登山道は比較的歩き易い。 ダブルストックを使用し快調に下るが、段々膝が笑い出す。最後は尾根から外れてジグザグに下り、階段を降りると車道に出た。 少し回り込んで椹島ロッジに着いた。

12:30  椹島ロッジ着

洗面所で顔を洗い、売店で冷たい飲み物を購入しのんびりとする。
その後、送迎バスで畑薙ダム手前の駐車場まで戻り、車を回収、途中赤石温泉で三日間の汗を流した後、帰途に着いた。





    咲いていた花々(主なもの)




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