山歩きのページ

<bgsound src="scar.mid" loop=-1> 北アルプス 
裏銀座縦走
2006年8月30日(水)〜9月1日(金)


 真砂岳付近からの水晶岳”


[概要]
八月の終わり、夏山の喧騒が過ぎた静かな北アルプス。雄大な景色を眺めながら稜線漫歩の裏銀座縦走に出掛けた。
初日と三日目は雨に降られたが、二日目は好天に恵まれ夏から秋へ変わり行く北アルプスの山歩きを楽しんだ。

[メンバー]  :単独
[山域&山名]:
北アルプス(長野、岐阜):烏帽子岳(2628m)、野口五郎岳(2924m)、真砂岳(2862m)、ワリモ岳(2888m)、鷲羽岳(2924m)
[天候 ]      :晴れ、のち雨
[行程]
(8/30): 高瀬ダム登山口(1270m)7:30 - 11:00烏帽子小屋 - 烏帽子岳往復(テント泊)
(8/31): 烏帽子小屋 4:50 - 7:20野口五郎岳(2924m)7:40 - 10:20水晶小屋10:30 - 12:00鷲羽岳12:15 - 13:05三俣山荘13:30 - 15:00双六小屋(テント泊)
(9/1): 双六小屋 4:30 - 7:40千丈沢乗越7:50 - 9:00槍平小屋9:10 - 12:00新穂高

一日目:高瀬ダム〜烏帽子小屋
七倉山荘前の駐車場に車を置き、ここからダムまでタクシー。夏山シーズンが終わって、駐車場は数台の車が有るのみ。
高瀬ダムの堰堤まではわずか15分くらいで着く。
40年前にこのコースを歩いた時はずーっと下の葛温泉が登山口だったが、今は3時間の時間短縮である。

7:30   高瀬ダム登山口を出発する。


高瀬ダムのトンネルを過ぎると不動沢の吊り橋がある。この橋はかなり立派で先月歩いた聖沢のものとは大違いだ。









  ”不動沢の吊り橋”
 



不動沢に堆積した砂地を暫く歩いたのち急登になる。北アルプス三大急登と云われているが、登山道も整備されており それ程でもない。
ブナ立尾根と云われている通りブナの巨木が目立つ。標高が1700mくらいから、コメツガやシラビソの針葉樹に変わる。

今日の予報では晴れの筈であったが、山の天気はそう旨くいかない。雨具を着けるほどではないがパラパラと雨が落ちてきた。
2208mのピークを過ぎたあたりから、傾斜は少し緩やかになる。右手に不動岳が見え出す。
南沢岳とのコルから下に落ちる沢は崩落が激しく、絶えずガラガラと音を立てて岩が落ちている。


やがて傾斜がゆるやかになり稜線に出、ちょっと下がって烏帽子小屋へ到着。

11:00   烏帽子小屋。

この時間、小屋には登山客はまだ到着していない。テントの受付をして、小屋から少し離れた場所にあるテント場にテントを設営。 テント場は余り広くないが、他にテントは見当たらない。
雨が降っているので、テントの中で休憩。昼寝。
2時間ほどしたらガスが切れてきたので、烏帽子岳に向かう。 途中の砂礫地には花の盛りを過ぎたコマクサがちらほら見える。









  ”コマクサ”
 



前烏帽子岳(ニセ烏帽子)まで来ると、形の良い烏帽子岳が目の前に現れる。








  ”ニセ烏帽子から見た烏帽子岳”後方は南沢岳
 



数箇所の鎖場を経て頂上へ。頂上は狭いが、360度遮るものはない。 残念ながら雲が掛かり遠望はきかない。
テント場へ戻る途中、烏帽子岳を振り返ると登山者が頂上に立っているのが見えた。









  ”烏帽子岳を振り返る”頂上右に人が立っている
 



テントに戻り夕食のあと、明日の長丁場に備え早めに就寝。
二日目:烏帽子小屋〜野口五郎岳〜鷲羽岳〜三俣山荘〜双六小屋

4:50  烏帽子小屋出発

夜中に起きてみると満天の星。今日は好天になりそうだ。
今日は今回の行程で一番きつい歩きになるので早めに出発。回りはまだ暗くランプを着けて歩く。
ひょうたん池の右を通り、三ツ岳への緩やかな登山道を行く。30分程すると東の空が赤くなり日の出である。









  ”唐沢岳の左手からの日の出”
 



三ツ岳への登りは花崗岩の崩れた砂礫地で、登山道脇に名残りのコマクサがちらほら咲いている。 三ツ岳は頂上を踏まず、巻き道を行く。
この辺りから、北アルプスの雄大な山並が見えてくる。





        ”先方、野口五郎岳と更に遠く槍ケ岳”

野口五郎岳までは、小さなアップダウンを幾つか越して行く。野口五郎小屋を過ぎて、やがて野口五郎岳の頂上へ出る。

7:20  野口五郎岳

なだらかな頂上からは回りの峰々をぐるっと見渡すことが出来る。









  ”頂上から北方を振り返る。”
   遠方立山の中央は5月にスキーで黒部まで下りた御山谷。



手前、野口五郎小屋の前にテント場があるが、2年前から利用禁止になっている。






        ”三ツ岳とその後方は後立山の峰々”

いつまでも景色を見ていたいがそうもいかないので腰を上げて先に進む。
真砂岳を過ぎた辺りから、右手に水晶岳が大きく迫ってくる。カールを抱いたその姿は雄大そのもの。









  ”水晶岳”
  








        ”鷲羽岳が段々近づいてくる。その右はワリモ岳”

東沢乗越の手前はゴロ岩の尾根が続き、少し歩きにくい。更に進むと、崩壊した赤褐色のヤセ尾根になる。 ここを登り切った所に水晶小屋がある。

10:20  水晶小屋

北アルプスで一番小さな山小屋と云われる水晶小屋も来年は増築するらしい。水晶、野口五郎、鷲羽への交点にあるこの小屋 は利用価値が高く、増築を待たれていた。
水晶小屋を過ぎると、登山道はなだらかになりワリモ岳へ続く。ここからは又、北アルプスの違った景色に変わる。





        ”ワリモ岳の登りから、薬師岳を望む”大きな山容に圧倒される。





        ”黒部五郎岳と黒部源流”





        ”右、三俣蓮華岳と左双六岳”左手前に三俣山荘が見える

ワリモ岳から少し下り、約100m登ると鷲羽岳の頂上へ出た。

12:00  鷲羽岳


頂上から振り返ると今朝から歩いてきた稜線が一望できる。





        ”裏銀座の稜線”中央の大きな山が野口五郎









  ”鷲羽岳頂上付近から見る鷲羽池”
 



鷲羽岳からは標高差400mの一気の下りである。あっという間に三俣山荘に着いた。

13:05  三俣山荘

ここの食堂で昼飯とする。真夏のシーズンだと、カツ丼などがあるが、今は簡単なもののみである。ヤキソバを注文し 休憩。
この夏は雨が少ないらしく、渇水で小屋の水が利用できないようだ。いままで余り無かったことである。
今日はたくさん歩いたが明日は天候が下り坂のようだ、明日の行程を楽にするために先に進む。
振り返ると鷲羽岳が、羽根を広げたように大きく羽ばたいている。





        ”鷲羽岳を振り返る”

三俣蓮華方面は雲が掛かっているので、巻き道を進む。巻き道といっても、 結構アップダウンと入り組んでいるので意外と時間が掛かる。
最後はハイマツの中を急降下して、双六小屋へ出る。

15:00  双六小屋

テントの受付の後、缶ビール2本を購入し一気飲み。今日は気温が高かったのでビールが殊のほか旨い。
広いテント場の小屋寄りにテントを設営。この小屋は双六岳脇の雪渓から水を引いているので水は豊富である。 早めの夕食の後、暗くなったら直ぐに寝た。


三日目:双六小屋〜新穂高


4:30  双六小屋出発

出発時は雨こそ降っていないが、回りはガスに包まれている。 天気が良くなることを期待して、槍ケ岳方面のルートを取る。

樅沢岳を過ぎた辺りから、明るくなり始めたが、今日の日の出は期待出来ない。
ようやく明るんだ東の方向に槍と穂高がシルエットで見える。





        ”夜明けの槍、穂高”

天候が悪くなったからか、これから天気が悪くなるのか、雷鳥が鳴き声を出しながら、登山道脇に現れた。









  ”雷鳥”
   




硫黄乗越を過ぎたら雨が降り出した。風はないが大粒の雨である。雨具を着け、ガスと雨の中を黙々と進む。









  ”ガスと雨の西鎌尾根”
   




昨年、ここを歩いた時は午後の西日に晒されて、かなりバテたが、きょうは気温が低く、歩くにはちょうど良い。
時折ガスが切れて千丈沢から突き上げる槍ケ岳が姿を現す。









  ”千丈沢から突き上げる槍ケ岳”
   




千丈沢乗越まで来たら、本格的な雨になった。このまま槍ケ岳に進んでも眺望は得られないので、ここから新穂高へ下りる ことにする。

7:40  千丈沢乗越

今日は金曜日。この雨の中を続々と登山者が上がってくる。槍平小屋にも今から登る登山者が数名休んでいる。









  ”槍平小屋”
   




余り変化の無い緩やかな下りが続く。滝谷の出合いから、滝谷を覗きながら下る。


白出小屋からは林道になる。昨年まであった白出小屋は今年は撤去されて、水場とトイレのみ残されている。
最後は単調な林道歩きを一時間余。終着の新穂高に着いた。大降りではないが、雨は降り続き、雨具は着けたままであった。

12:00  新穂高

バス停前の無料温泉で三日間の汗を流したあと、バス、電車、タクシーを乗り継いで、 七倉の駐車場まで行き、車を回収し帰途に着いた。


    咲いていた花々(主なもの)





2006年山行一覧表   北アルプス-山行記録   Home