[概要]
梅雨明けとにらめっこしながら、
後立山連峰の白馬岳から入った。初日は北陸側の梅雨の最後に引っ掛かったようで
雨と強風に見舞われた。2日目からは梅雨明け本番の好天になり、快調に縦走が出来た。
このコースは約40年前に逆方向から歩いているが、当時の記憶は薄れているので、
新鮮な目で歩くことが出来た。
不帰嶮、八峰キレットなどの岩場を考慮して、ザック重量を限界まで軽量化。
昨年より7kg軽い18kgとした結果、軽くて良好。
食糧はすべてフリーズドライのもの。アルコール類は山小屋で購入など。
しかし、フリーズドライの食事はやっぱり、いまいちだった。
[メンバー] :単独
[山域&山名]:
北アルプス(富山、長野):後立山連峰:白馬岳(2932m)、唐松岳(2696m)、五竜岳(2814m)、鹿島槍ケ岳(2889m)、爺ケ岳(2670m)、針ノ木岳(2821m)
[天候 ] :初日は雨、以後晴れ
[行程]
(7/20):猿倉登山口(1230m)14:00 - 15:00白馬尻テント場(テント泊)
(7/21): 白馬尻テント場4:30 - 8:30白馬岳 - 8:50白馬山荘9:20 - 12:30天狗山荘(小屋泊)
(7/22): 天狗山荘6:00 - 9:00不帰嶮 - 9:40唐松岳10:00 - 12:30五竜山荘(テント泊)
(7/23): 五竜山荘4:30 - 5:30五竜岳 - 10:30鹿島槍ケ岳11:00 - 12:40冷池山荘12:50 - 15:00種池山荘(テント泊)
(7/24): 種池山荘5:00 - 7:10新越乗越 - 12:20針ノ木岳12:40 - 13:10針ノ木小屋13:30 - 16:40扇沢
一日目:猿倉登山口〜白馬尻テント場
白馬駅前の登山相談所に登山者カードを提出し、バスで猿倉へ向かう。今日は天候が悪く、諦めて下山した登山者が駅前で恨めしそうに空を見ていた。
14:00 猿倉登山口を出発する。
猿倉荘の裏側から歩き始める。しばらく行くと幅の広い林道に出る。途中林道の上を小沢が流れている。このところ雨続きだったので水の量も多い。
山の方はガスっていて何も見えない。二つ目の沢を過ぎると道は登山道に変わる。濡れた岩の道を滑らぬよう注意しながら登っていくと、白馬尻に出た。
15:00 白馬尻
二軒ある小屋のうち下側の白馬尻荘でテント申し込みを済ませる。今日は幕営者は少ないらしく、小屋脇の平らなコンクリート
のところを指定されテントを設営する。小屋と小屋の間の一等地だ。
その後続々と小屋泊りの登山者が上がってくる。明日の早発ちを考え早々に夕食を済ませ明日の好天を祈りながら寝る。
二日目:白馬尻テント場〜天狗山荘
4:30 白馬尻出発
”白馬の大雪渓”を下から見る
雪渓から上はガスと雨であった。
白馬尻付近は晴れている。昨日は殆ど見通しのきかなかった雪渓も今日は良く見えるが、上の方はガスっている。振り返ると妙高方面は晴れている。
緩やかな勾配の雪渓であるが、念のため軽アイゼンを付け、雪渓上に引かれた赤いベンガラの線に従って登る。勾配が少し急になったあたりで雪渓が終わり、すこし
ザレた道を登ると葱平に出る。このあたりからガスがかかり、霧雨となってきたので、雨具を着用する。稜線まではロープの張られた広い登山道であり、天気が良ければ
高山植物のお花畑が眺められるはずだが残念ながら殆ど見えない。
村営頂上宿舎の脇を通って暫くすると稜線に出る。視界不良であるが、とりあえず白馬岳の頂上へ行くことにする。
8:30 白馬岳頂上
巨大な白馬山荘の間を抜けて暫く登ると白馬岳の頂上へ出た。登り始めてからここまで2〜3人の登山者と出合ったのみである。何も見えない
頂上を早々に引き揚げ、白馬山荘に戻り休憩。
”白馬山頂(2932m)”
何も見えない。
8:50 白馬山荘9:20
山荘の受付フロアには4〜5人の登山者が暖をとっていた。白馬大池方面から来た人たちで、天候が悪いのでこの先どうするか迷っていた。
風雨はそれほどひどくはない。雨具を再点検し天狗山荘まで行くことにする。
杓子岳の巻き道あたりまでは視界は50m位あったが、鑓ケ岳付近からは強風と横なぐりの雨になった。足を踏ん張らないと風で倒されてしまう。
視界は数メートルしかないので、足元の踏み跡を確認しながら耐風姿勢で少しづつ進む。鑓ケ岳の頂上はパスして先を急ぐ。
白馬鑓温泉への分岐を過ぎればあと一息である。天狗山荘近くは雪田になっている。所々ベンガラマークが見えるが途切れているため判りずらい。
発電機の音が聞こえてきたので、それを頼りに進むとようやく天狗山荘に着いた。
12:30 天狗山荘
この強風と雨。考えるまでもなくテントは止め小屋泊を申し込む。山荘には今朝白馬山荘を発った登山者が10名程、暖をとっていた。
靴を含めて全身ずぶ濡れ。早速乾燥室で濡れたものを乾す。この山荘は今年改築したばかりで大変感じが良い。
山小屋で小屋食を食べるのは久し振りである。夕食は鍋料理も付いたなかなかのものであった。風雨は夜中まで小屋の屋根、壁をたたいていた。
三日目:天狗山荘〜五竜山荘
四日目:五竜山荘〜種池山荘
4:30 五竜山荘出発
今日も快晴である。予定では今日は冷池小屋まで。長丁場を考え、早発ちをする。五竜岳への最初は緩やかな登りであるが、
しばらくすると岩場になりペンキマークを頼りに登る。途中で日の出を迎えた。雲海の上からのご来光である。
”五竜岳でご来光”
5:30 五竜岳
五竜岳の頂上は細い尾根を少し戻ったところにある。360°遮るものが無い素晴らしい展望である。行く手に八峰キレットのやせ尾根が続き、その先に
鹿島槍の双耳峰がでんと構えている。
”五竜岳頂上から八峰キレットと鹿島槍”
八峰キレットへの道は最初はザレた急斜面の下りである。これを越すと鎖の付いた岩場のアップダウンが延々と続く。登ったと思ったら下りる、
この繰り返しは精神的に疲れる。口の沢のコルを過ぎて更に鎖、ハシゴの岩場を数回繰り返すとやっとキレット小屋だ。
ここからは鹿島槍までの急登が始まる。急斜面の岩稜帯で一気に高度を上げる。キレット小屋がみるみる小さくなっていく。
登り詰めると吊り尾根のコル部分だ。ザックをデポして北峰を往復する。吊り尾根のコル部分に大きな雪田が残っていた。ストックできれいな雪を掘り起こし
ポリ袋に詰める。後で清涼水になるだろう。南峰の登りにかかる。頂上は見えているがなかなか着かない。朝から歩いた疲れが出てきたのと
暑さで足が重い。
”鹿島槍ケ岳吊り尾根から八峰キレットを振り返る”
信州側から雲が湧いている
10:30 鹿島槍ケ岳
南峰の頂上には大勢の登山者が休んでいた。殆どが扇沢からの往復登山者達だ。
ここで今日始めての大休憩をとる。先程とってきた雪がすこしづつ融けているのでこれでのどを潤す。ラーメンを作って早い昼飯とする。
鹿島槍からの下りの最初はザラザラの滑りやすい道だ。右手に剱岳、立山を見ながらどんどん下る。途中、ハイ松の中の布引山のピークで小休止。
さらに下ると傾斜はなだらかになり、お花畑に出る。例年だと残雪があるが今年は残っていない。テント場を過ぎて暫くしたら冷池山荘にでた。
12:40 冷池山荘
今年改築したばかりの山荘で快適そうだ。山荘前のベンチで一休み。時間はまだ1時前、もう少し先まで進めそうだ。
明日の行程を楽にする為に種池山荘まで行くことにする。
ここから爺ケ岳までは緩やかな登りである。樹林帯を過ぎて、ハイ松の中をトラバース気味に進む。爺ケ岳の手前の斜面にコマクサの株があるが、花
は終わっていた。2年前に来た時はちょうど見頃だったが、今年は殆どの花がピークを過ぎている。
爺ケ岳頂上からは種池山荘を見下ろす形になり、後方に剱岳、立山連峰を従えた絵になる風景だ。この風景を見ながら緩やかな斜面を下りた
ところが種池山荘だ。
15:00 種池山荘
テント場を申し込み、まずは生ビール。今日は結構歩いたので、生ビールがいつになくうまい。一杯で終わらず二杯飲んでしまった。
テント場は山荘から少し離れた木立の中にあって、きれいに整地された一等地だ。既に10張が設営済みで、それぞれ夕食の準備に取りかかって
いる。夕食を済ませ、ちょっと早いがテントの中で横になったらあっという間に寝てしまった。
五日目:種池山荘〜扇沢