山歩きのページ

<bgsound src="scar.mid" loop=-1> 北アルプス  蝶ケ岳、常念岳、大天井岳、燕岳
2005年6月5日(日)〜7日(火)


”天上沢から天に突き上げる槍ケ岳と小槍(大天井岳から)”


[概要]
梅雨に入る前の最後と思われる好天を狙って、穂高、槍の展望台の蝶ケ岳から常念岳へ、更に足を延ばして燕岳まで と、欲張りな山行を行った。
初日は雨に降られたが、2日目はこの季節としてはめったに無い好天。日本を代表する山々を一日中眺めながらの縦走 を堪能した。


[メンバー]  :単独
[山域&山名]:
北アルプス(長野)、蝶ケ岳(2677m)、常念岳(2857m)、大天井岳(2922m)、燕岳(2763m)
(登山口からのMax標高差1642m)
[天候 ]      :雨のち晴れ
[行程]:
(6/5):三股登山口(1280m)7:30 - 11:50蝶ケ岳ヒュッテ(テント泊)
(6/6):蝶ケ岳ヒュッテ6:00 - 9:00常念岳9:20 - 13:00大天井岳13:30 - 16:20燕山荘(テント泊)
(6/7):燕山荘9:00 - 11:10中房温泉登山口
一日目:三股登山口〜蝶ケ岳ヒュッテ
豊科のインターから登山口へ通じる道路から蝶ケ岳が眺められ、そのシンボルの蝶の雪形がはっきりと見える。

7:30   三股登山口の駐車場を出発する。

まだシーズン前の為か、広い駐車場には車は数台のみである。夏シーズンになると駐車場は満杯になり、狭い道路に路駐が増えるらしい。 既に皆出発済で辺りに登山者は見当たらない。







”三股登山口の舗装された立派な駐車場”





林道を暫く行くと登山口の標識があり、トイレ、登山届のポストがある。ここで登山届を提出し登山道に入る。右は、あのきつい 常念岳への登り、蝶ケ岳は左の少しゆったりとした道である。
緩急織り交ぜた歩き易い登山道である。道の両脇には雪解けの後から、いろんな花が咲いている。ニリンソウ、クルマバソウ、エンレイソウ、 イワカガミなど。

急登をクリアすると、まめうち平と呼ばれるなだらかな場所に出て小休止。この辺りから登山道はポツポツと雪に被われる様になる。
2100m辺りからは全面、雪の斜面となる。頂上直下の200m位は急斜面の為、アイゼンを着用。 視界が悪く周りは良く見えないが、この辺りは蝶の雪形の羽の部分を 直登していることになる。夏道から少し離れて最短距離で進む。








”蝶の雪形部分を直登”





やがて勾配は緩やかなハイマツ帯に入り暫くするとヒュッテの前に出た。


11:50  蝶ケ岳ヒュッテ


生憎、天気は良くない。雨が降り出した。この天候ではどうしようもない。受付をして、テントを設営。ちょっと早いが昼寝。

夕方、雨が止んで少しづつ視界が良くなってきたので辺りを散策。蝶ケ岳のピークは余り特長の無いところで、標識が無ければ解らない。







”蝶ケ岳の頂上”





雲が少しづつ切れて、常念岳の頭が見えてきた。







”雲の上から常念岳”









”蝶ケ岳から見たヒュッテとテント場”





日没近くになってやっと、穂高が少し顔を見せ始めた。雲が掛かっているせいか、 ここから見ると穂高は遥かに高い位置に見える。

夕日は南岳付近から山の陰に姿を消した。明日の天候は期待出来そうである。







”南岳付近に沈む夕日”






二日目:蝶ケ岳ヒュッテ〜常念岳〜大天井岳〜燕山荘

明け方はかなりの冷え込みだった。フライシートを持ってこなかったので、ゴアテックスのテントといえども外面 は真っ白な霜。内面は湿気が抜けなくて氷結。テントに触るとパラパラと細かい氷片が落ちる。

荷物を静かにテントの外へ出し、空テントをバサバサと揺すって氷片を落とした後、テントを撤収した。

雲一つない晴天である。4:35、 雲海の上から日の出。いつ見ても素晴らしい光景だ。







”蝶ケ岳テント場の日の出”





やがて穂高連峰が僅かに色づいてモルゲンロート。まさに穂高の展望台、感動の一瞬である。 もう少しピンク色に染まるのを期待したが、数分で色は消えた。





         ”穂高連峰のモルゲンロート”


少しづつ明るさが増し、刻々と変化する穂高と槍の姿に飽きることなく見入ってしまう。

10名位の登山者が同じような思いで溜め息をつきながら魅入っている。殆どの人は今日、其のまま下山 するようであるが。私の今日の行程は長い。急いで身支度をし、予定よりかなり遅れて出発。


6:00  蝶ケ岳ヒュッテ出発


これから行く常念岳までの稜線が見通せる。最初はなだらかな地形を左に槍、穂高を見ながらの、これぞ稜線漫歩。
蝶槍に来たら雷鳥が一羽、岩の上にとまっていた。羽は殆ど夏色になっているのでちょっと目立たない。








”蝶槍の岩場にとまる雷鳥”





振り返ると大滝山の左に富士山と南アルプスがシルエット状に浮かんで見える。






”大滝山の裾に見える富士山と南アルプス”





蝶槍を過ぎると雪の急斜面の下りで、本日唯一アイゼンを装着した。
暫くは余り眺望のきかない林の中の小さなアップダウンがある雪道歩きが続く。

2512mのピークから常念岳への登りが前面に迫って見える。ちょうどキレット小屋から鹿島槍への登りを髣髴させる光景 だ。







”常念岳への登り”





常念岳の登りは見た目ほど厳しくはなく、やがて頂上に到着。


9:00  常念岳


ここから見る槍、穂高は蝶ケ岳で見たのと又違う姿である。吊り尾根の手前に前穂高がせり出している。





         ”常念岳頂上からの穂高連峰と槍ケ岳”

穂高連峰の左に霞沢岳、その向こうに乗鞍岳と御嶽が浮かんでいるように見える。







”霞沢岳、乗鞍岳と御嶽”





常念岳からは400mの一気の下りである。なんとももったいない。またこの分を後で登り返さなければならない。
横通岳の斜面で蝶ケ岳ヒュッテからの単独行者2名に追い着いた。燕山荘まで抜きつ抜かれつの旅となる。

登山道脇に雷鳥2羽がいた。ただいま求愛中といったところである。







”雷鳥のペア。2羽が離れているところが面白い。”





東天井岳の脇は平坦地の休憩場所。ちょうど、常念岳方向と、槍ケ岳、大天井岳方面が見渡せる。ここで燕山荘からの登山者、数人と出会う。







”東天井岳脇から常念岳方向を振り返る。”








         ”槍ケ岳とその右は双六岳方面。右は大天井岳”

歩き易い稜線を歩くこと約1時間。大天井岳に到着。


13:00  大天井岳


ここが今回の行程中の最高地点である。







”大天井岳頂上”





ここからの槍ケ岳の眺めは圧巻である。小槍を従えた大槍が天上沢から突き上げている。(トップの写真)

頂上から振り返ると蝶ケ岳から歩いてきた稜線が延々とつながっている。





         ”大天井岳から振り返る。常念岳と遥か遠くの蝶ケ岳。すぐ下に見える大天荘”


当初の予定では大天荘でテントを張る予定であったが、時間が早いので燕山荘まで足を延ばすことにした。
大天井岳からの下りは巻き道が急斜面の雪渓で危険のため通行禁止。頂上からガレた急斜面を直接下る。

燕山荘までは見た目は平坦な縦走路に見えるがそこそこアップダウンがあり、真夏のような強烈な日射しに照らされて 結構汗をかかされる。

為右衛門吊り岩からの吊り尾根部ではヤブこぎで最後の汗をかく。ピークに来て振り返ると、雪庇の上にルートがある。 どうやらこの表銀座コースは燕山荘から歩くことを主にコース 整備や、案内がされているようだ。振り返ると大天井岳はなかなかの迫力である。







”大天井岳を振り返る”





16:20  燕山荘


山荘に着くやいなや、缶ビールを3本買って一気飲みし、今日の無事を祝って一人で乾杯。
テント場は雪庇の上である。水も小屋で分けて貰えないので少し雪を堀ってきれいなところを融かして 水を作る。早めの夕食をしてテントで横になったらそのまま寝てしまった。



三日目:燕山荘〜中房温泉

夜中に足が冷たくて目が覚めた。気温はそれ程でもないが、雪の上なので冷たい。ザックの中身を出して空にし、 その中にシュラフの先を突っ込むと具合が良い。

朝テントの中を見ると雪に接した部分は結露していた。ゴアテックスのシュラフカバーのお陰でシュラフは大丈夫。

今日は楽な行程なのでゆっくりと食事をし、その後、燕岳を往復。 晴れているが、天気は少しづつ下り坂のようだ。







”燕山荘付近からみた燕岳”





燕岳への途中で燕岳のマスコット、いるか岩に出会う。それにしても良く出来ている。







”いるか岩と後面は槍ケ岳”





燕岳頂上からは北方の山々が眺められる。北燕岳から先はこの時期通行禁止のようだ。





         ”燕岳頂上からの眺望。北燕岳、立山、剣、後立山”


9:00  燕山荘出発


合戦小屋までは殆どが雪道の下りである。この時期の雪は歩くのに丁度よい雪質で、あっという間に小屋 まで下りた。

アルプス三大急登と云われる合戦尾根であるが、整備されているので大変歩き易い。夏山シーズンを前に 今日も登山道を整備しているところであった。ぐんぐん高度を下げ、中房温泉に到着。


11:10  中房温泉


今年から平日も穂高駅まで乗合バスが運行している。バスとタクシーを乗り継いで三股に戻り、帰りに「ほりでーゆ」 で温泉に浸かりゆっくりと休んだあと、帰途に着いた。



    咲いていた花々
         ニリンソウ、クルマバソウ、エンレイソウ、 イワカガミ


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