豊科のインターから登山口へ通じる道路から蝶ケ岳が眺められ、そのシンボルの蝶の雪形がはっきりと見える。
7:30 三股登山口の駐車場を出発する。
まだシーズン前の為か、広い駐車場には車は数台のみである。夏シーズンになると駐車場は満杯になり、狭い道路に路駐が増えるらしい。
既に皆出発済で辺りに登山者は見当たらない。
”三股登山口の舗装された立派な駐車場”
林道を暫く行くと登山口の標識があり、トイレ、登山届のポストがある。ここで登山届を提出し登山道に入る。右は、あのきつい
常念岳への登り、蝶ケ岳は左の少しゆったりとした道である。
緩急織り交ぜた歩き易い登山道である。道の両脇には雪解けの後から、いろんな花が咲いている。ニリンソウ、クルマバソウ、エンレイソウ、
イワカガミなど。
急登をクリアすると、まめうち平と呼ばれるなだらかな場所に出て小休止。この辺りから登山道はポツポツと雪に被われる様になる。
2100m辺りからは全面、雪の斜面となる。頂上直下の200m位は急斜面の為、アイゼンを着用。
視界が悪く周りは良く見えないが、この辺りは蝶の雪形の羽の部分を
直登していることになる。夏道から少し離れて最短距離で進む。
”蝶の雪形部分を直登”
やがて勾配は緩やかなハイマツ帯に入り暫くするとヒュッテの前に出た。
11:50 蝶ケ岳ヒュッテ
生憎、天気は良くない。雨が降り出した。この天候ではどうしようもない。受付をして、テントを設営。ちょっと早いが昼寝。
夕方、雨が止んで少しづつ視界が良くなってきたので辺りを散策。蝶ケ岳のピークは余り特長の無いところで、標識が無ければ解らない。
”蝶ケ岳の頂上”
雲が少しづつ切れて、常念岳の頭が見えてきた。
”雲の上から常念岳”
”蝶ケ岳から見たヒュッテとテント場”
日没近くになってやっと、穂高が少し顔を見せ始めた。雲が掛かっているせいか、
ここから見ると穂高は遥かに高い位置に見える。
夕日は南岳付近から山の陰に姿を消した。明日の天候は期待出来そうである。
”南岳付近に沈む夕日”
明け方はかなりの冷え込みだった。フライシートを持ってこなかったので、ゴアテックスのテントといえども外面
は真っ白な霜。内面は湿気が抜けなくて氷結。テントに触るとパラパラと細かい氷片が落ちる。
荷物を静かにテントの外へ出し、空テントをバサバサと揺すって氷片を落とした後、テントを撤収した。
雲一つない晴天である。4:35、 雲海の上から日の出。いつ見ても素晴らしい光景だ。
”蝶ケ岳テント場の日の出”
やがて穂高連峰が僅かに色づいてモルゲンロート。まさに穂高の展望台、感動の一瞬である。
もう少しピンク色に染まるのを期待したが、数分で色は消えた。
”穂高連峰のモルゲンロート”
少しづつ明るさが増し、刻々と変化する穂高と槍の姿に飽きることなく見入ってしまう。
10名位の登山者が同じような思いで溜め息をつきながら魅入っている。殆どの人は今日、其のまま下山
するようであるが。私の今日の行程は長い。急いで身支度をし、予定よりかなり遅れて出発。
6:00 蝶ケ岳ヒュッテ出発
これから行く常念岳までの稜線が見通せる。最初はなだらかな地形を左に槍、穂高を見ながらの、これぞ稜線漫歩。
蝶槍に来たら雷鳥が一羽、岩の上にとまっていた。羽は殆ど夏色になっているのでちょっと目立たない。

”蝶槍の岩場にとまる雷鳥”
振り返ると大滝山の左に富士山と南アルプスがシルエット状に浮かんで見える。

”大滝山の裾に見える富士山と南アルプス”
蝶槍を過ぎると雪の急斜面の下りで、本日唯一アイゼンを装着した。
暫くは余り眺望のきかない林の中の小さなアップダウンがある雪道歩きが続く。
2512mのピークから常念岳への登りが前面に迫って見える。ちょうどキレット小屋から鹿島槍への登りを髣髴させる光景
だ。

”常念岳への登り”
常念岳の登りは見た目ほど厳しくはなく、やがて頂上に到着。
9:00 常念岳
ここから見る槍、穂高は蝶ケ岳で見たのと又違う姿である。吊り尾根の手前に前穂高がせり出している。