1.日立の桜の歴史 |
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(1)煙害の発生とその対策(明治期) |
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明治38年、久原房之助(日立鉱山の創業者)によって、日立鉱山の近代化が図られていく過程で、銅の精錬の際に排出される「亜硫酸ガス」によって、近隣の公害問題が発生し、地域住民や日立鉱山にとって大変な試練の時期を迎えました。
荒廃した環境を何とか回復させようと、日立鉱山庶務課長の角弥太郎は、伊豆大島の噴煙地帯に「大島桜」が自生することに着目して苗木を調達し、明治41年に社宅周辺に大島桜を植栽し、また、明治42年には、農業試験場が設置されました。 |
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(2)大煙突建設と植林(大正期) |
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当時は、煙をできるだけ薄くし、低い煙突から排出して煙害を軽減する事が最良の方策であると信じられていました。久原房之介は「煙を高煙突方式により高空に拡散し煙害を軽減する」という方策を考案し、大正3年12月に高さ155.7m当時世界一の大煙突を完成させ、その後、煙害は激減し、問題の解決をみることになりました。
また、農業試験場では、苦心の末、山林の植林に必要な大島桜の発芽・苗木の育成に成功し、大正4年から昭和7年までの18年間にわたり推定約260万本の大島桜を中心とする約500万本もの植林が行われました。 |
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(3)大島桜から染井吉野へ |
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大島桜が育つようになると、この苗木に染井吉野を接ぎ木して、桜の苗木を多量につくりだしました。角は、この花の美しさに着目して、大正6年頃に社宅、学校、道路、鉱山電車線路沿いなどに約2,000本を植えさせ、これが、当市の春を彩る染井吉野の群落のルーツです。その後も、農場では、大島桜をはじめとする耐煙樹種の苗木が生産され、市内各所に植えられるようになりました。 |
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日立市都市建設部さくら課作成「さくらのまち日立ガイドブック」から引用 |
2.日立市内の桜 |
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(1)オオシマザクラ・ヤマザクラ・染井吉野他の桜 |
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・北部地区 ・中部地区 ・南部地区 |
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(2)枝垂れ桜 |
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・北部地区 ・中部地区 ・南部地区 |
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(3)日立紅寒桜 |
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昭和40年代の初め、緑化運動が盛んだったころ、小木津駅に植えられた桜の一つで、日の当たるところでは、1月中旬の頃より咲き始め、3月下旬まで楽しめる。
当時はもちろん新しい品種であることを意識して植えたものではない。桜の品種不明のまま、平成を迎え、同11年に地域の篤志家により地域特性の桜ではないかとの研究の傍ら芽接を行い、その後研究機関における組織培養法(メリクロン法)で2世代の桜を誕生させ、原木は枯死したが、種は受け継がれた。
幼木ではあるが芽接ぎ第1号が日高交流センターに植栽された。名称は市民からの公募で「日立紅寒桜」と命名された。
・ヤマザクラ(山桜)×カンヒザクラ(寒緋桜)と想定。
・花弁数:5個、花の大きさ:2.5cm、色:淡紅紫色、樹形:傘状
・花期:1月中旬~3月下旬
◎日立紅寒桜の歴史
・昭和40年頃 緑化運動の一環として小木津駅構内に植えた桜のうちの1本と推定
・平成10年頃に早咲きの寒桜系の新種ではないかと推定
・平成11年 バイオ(メリクロン法)発芽実験開始(結城農場)
・平成12年 芽接に成功
・平成13年 バイオ発芽に成功 名称公募;「日立紅寒桜」と称する
・平成14年 原木を小木津駅から日高公民館に移植(1月)
・平成15年 新品種の桜として農水省より登録認定される
(さくらネットワークから引用) |
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・北部地区 ・中部地区 ・南部地区 ・市外 ・県外 |
3.日立市の地域が選んだ「わがまちの桜23選」 |
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日立市は、日立市さくらのまちづくり推進市民会議とともに、市内23のコミュニティから身近なところで咲き誇る地域の桜の名所を推薦してもらい選出しました。 |
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4.日立市固有の桜 |
(1)日立紅寒桜 (2)おぎつやよい (3)ひたち雅 |
5.日立市の日本のさくら100選 |
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平成2年(1990年)日本のさくら名所100選に「神峰公園・平和通り」が認定されました。 |
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(1)かみね公園 |
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かみね公園は、昭和23年に地元の有志により整備が進められ、昭和28年には「神峰公園整備促進会」が結成され市民の奉仕作業により108本の桜が植栽されました。1957年(昭和32年)に動物園と遊園地が開演されました。 |
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(2)平和通り |
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平和通りは、昭和26年に日立駅前から6号国道まで約1キロメートルが全面開通し、その通りには120本の染井吉野が植えられました。毎年4月の「さくらまつり」には、国指定重要有形・無形民族文化財・ユネスコ無形文化遺産の「日立風流物」が披露され、大勢の人で賑わいます。 |
6.日本の三大桜と三大桜名所 |
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(1)日本の三大桜 |
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名 称 |
所 在 地 |
品 種 |
樹 齢 |
備 考 |
山高神代桜 |
山梨県北杜市武川町山高2763 |
日本最古、エドヒガンザクラ |
2000年 |
實相寺 |
三春滝桜 |
福島県田村郡三春町滝字桜久保 |
ベニシダレザクラ |
1000年超 |
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根尾谷淡墨桜 |
岐阜県本巣市根尾板所字上段995 |
エドヒガンザクラ |
1500余年 |
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(2)日本の三大桜名所 |
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名 称 |
所 在 地 |
備 考 |
弘前公園の桜 |
青森県弘前市白銀町 |
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高遠城跡公園の桜 |
長野県伊那市高遠町東高遠 |
タカトウコヒガンザクラ |
吉野山の桜 |
奈良県吉野郡吉野町吉野山 |
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7.さくらの種類 |
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(1)野生種10種 |
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日本に自生している野生の桜は、全部で10種類があり、沖縄のカンヒザクラ(寒緋桜)を加えれば11種類となります。
1. ヤマザクラ(山桜) |
2.オオヤマザクラ(大島桜) |
3.カスミザクラ(霞桜) |
4.オオシマザクラ(大島桜) |
5.エドヒガン(江戸彼岸) |
6.チョウジザクラ(丁字桜) |
7.マメザクラ(豆桜) |
8.タカネザクラ(高峰桜) |
9.ミヤマザクラ(深山桜) |
10.クマノザクラ(熊野桜) |
11.カンヒザクラ(寒緋桜) |
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(2)栽培品種 |
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栽培品種とは、野生種や交雑品の中から人間が園芸価値の高いもの選び出した桜を言い、その中で代表される「染井吉野」は幕末の頃に江戸・染井村の植木職人が品種改良して造られた桜です。里桜とは、オオシマザクラを基にして、里地で栽培された桜の品種の総称をいう。 |
8. 市内各地区別桜の写真一覧 |