現代の剣道

 剣道は、我が国の伝統と文化に培われた世界に誇る文化遺産で、数百年の永きにわたり「日本人」の心身鍛錬法として
日本を支えてきた貴重な財産で、武士道の根源である。
 従って他のスポーツとは一線を画し、剣道修練の目的は「剣道の理念」と「剣道修練の心構え」に示されているように、
剣道を通じ心身を練磨し、社会国家に役立つ人材を育成するためにある。しかし、「ただ、黙々と修行せよ」と言っても
現代では無理があるので、その手段として「試合」という競技があり、また修行の成果を明確にする「昇段審査」がある。

 また、精神修養といった面を省き、単に「運動競技」という狭義の中でも「老若男女が、同じ場所で、同じ道具を用いて、
同時に行える」ものは他にはなく、特に80才・90才といった高齢になっても行える「生涯学習」そのもので、
これは「竹刀」という介在物が対人間に存在し、体力の衰えを「心」が補い、勝敗を左右するというのが剣道の特色である。
 この貴重な文化遺産を後世に伝えるべく「(財)全日本剣道連盟」があり、その下部組織として幼少年への指導育成を
主体とする「(財)全日本剣道道場連盟」が活動中である。



      剣道の理念
   剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である

           剣道修練の心構え
   剣道を正しく真剣に学び
   心身を練磨して旺盛なる気力を養い
   剣道の特性を通じて礼節をとうとび
   信義を重んじ誠を尽くして
   常に自己の修養に努め
   以って国家社会を愛して
   広く人類の平和繁栄に
   寄与せんとするものである
                        昭和50年3月20日制定


      
剣道指導の心構え
  (竹刀の本意)
   剣道の正しい伝承と発展のために、剣の理法に基づく
   竹刀の扱い方の指導に努める。
     
剣道は、竹刀による「心気力一致」を目指し、自己を創造していく道である。
      「竹刀という剣」は、相手に向ける剣であると同時に自分に向けられた剣でもある。
      この修練を通じて竹刀と心身の一体化を図ることを指導の要点とする。
                                        

  礼法)
   相手の人格を尊重し、心豊かな人間の育成のために
   礼法を重んずる指導に努める。
     
剣道は勝負の場においても「礼節を尊ぶ」ことを重視する。
     お互いを敬う心と形(かたち)の礼法指導によって、節度ある生活態度を身につけ、
      「交剣知愛」の輪を広げていくことを指導の要点とする。


  生涯剣道)
   ともに剣道を学び、安全・健康に留意しつつ、
   生涯にわたる人間形成の道を見出す指導に努める。

     剣道は、世代を超えて学び合う道である。「技」を通じて「道」を求め、
     社会の活力を高めながら、豊かな生命観を育み、文化としての剣道を
     実践していくことを指導の目標とする。

                                           平成19年3月14日制定