「せきの」見立て

エアコンの風 のどを刺激  2週間以上続いたら受診  たん出たら市販薬は禁物  

 一口に「せき」と言っても、その症状は様々だ。「コンコン」という乾いたせきもあれば、「ゴホゴホ」という湿ったせき、たんを伴うせきもあり、それぞれ違った原因が隠されている。
 埼玉医大呼吸器内科教授の金沢実さんによると、ふだん健康な人のせきは、風邪が原因であることがほとんどだ。その場合は、鼻水、鼻づまり、のどの痛みなどが伴い、通常は1〜2週間で治る。しかし、「2週間を超えてせきが続いている場合や、風邪の症状がないのにせきが続く場合には、他の疾患が隠れている可能性がある」という。そのまま放置しておくと慢性のせきに移行するおそれもある。レントゲン撮影で、肺がんや肺結核、肺炎などの重篤な疾患が見つかることもある。
 たんの状態も重要な情報だ。たんが透明ならいいが、黄色く粘り気が強くなると感染症が疑われる。肺炎、肺膿瘍(
はいのうよう)、気管支拡張症などだ。血が混じっているなら、肺がんや肺結核、肺血栓塞(そく)栓症、真菌(カビ)による肺アスペルギルス症なども疑わなければならない。
 たんを伴わない乾いたせきの場合、湯気や冷気、化学物質などの刺激で反射的に起きていることも多い。しかし、、これも長期化したら、背後に疾患がある可能性も。多いのはアトピーせきや、せきぜんそくなど、アレルギー性の疾患だ。鼻副鼻腔炎(
びくうえん)のウミがのどに垂れることで起きるせきや、胃食道逆流症の刺激で起きるせきも少なくない。そのほか、高血圧治療薬の影響による薬剤性、ストレスによる心因疾性など原因は様々だ。
 いずれにしても、原因疾患に対する適切な治療をしなければ、せきの症状も改善しない。「長引くせきを軽く見ることなく、一度医師の診察を受けた方が良い」と金沢さんはアドバイスする。

  ■せきのタイプ別「疑われる病気」
ゴホゴホと湿ったせき
 〔黄色いたんが出る〕
  かぜ、インフルエンザなどの感染症、肺炎、肺膿瘍、気管支拡張症
 〔たんに血が混じる・喀血
(かっけつ)
  肺がん、肺炎、肺結核、肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)
  肺アスペルギルス症
コンコンと乾いたせき
  せきぜんそく、アトピーせき、胃食道逆流症、高血圧治療薬(ACE阻害薬)
  によるせき、心因性のせき