岩手県立盛岡第一高等学校1960年卒在京同期会
在京白堊三五会・技術エッセイ(石田武久)

 ある専門誌に掲載された文章を手直ししたもの、ということです。

 前振りは同期生へのメッセージ、その後に「作品」が続きます。




『在京35会WEBサイトへの投稿に際して(前振り)』


 35会の皆様、ご健勝のことと思います。石田です。                
 今年も新しい年、2008年が明けました。                    
 「光陰矢の如し」のならい通り、若き血潮をたぎらせた青春時代も遥か彼方となり、何人か
の仲間達は既に幽境へと旅たち、残された我らの頭髪はとみに薄く、白くなりました。されど、
恒例の35会であわせる顔には、昔の面影を残し、いまだ青春の盛りを楽しんでいる感のある
こと大変うれしく思っております。                         
 「正月は冥土の旅への一里塚」は免れ得ないことなれど、せめて残り少ない里程を元気にし
かも楽しみながら、できるだけ数多く超えて行きたいと思っている日々です。      
 わたくし、組織を離れフリーになり3年目、これまで関わってきた放送関係の経験を活かし、
技術評論家の名を騙り、雑誌へ記事を書いたり、人前で話をしたり、それなりに楽しみながら
日を送っています。                                

 村野井さんからこのサイトのことは聞き、皆様の寄稿も拝読させてもらっており、かねてよ
り村野井さんから何か書いてよと言われており、気になっておりました。        
 何か気の効いたことをと思っても、非才の身にて何が出てくるわけでもなく、昨年ある雑誌
の10月号に書いたコラムを投稿させていただきます。放送関係の雑誌なのでちょっと硬いと
夏の参院選のちょっと後に書いたもので、今流行りのいささか賞味期限切れながら、今の状況
を知りつつ去年の夏ごろを思い起こして読んで頂ければ一興かと思います。        

追伸:私の本業?のひとつで"Inter BEE"(国際放送機器展)のサイトの中の
Online Magazineの「私が見たInterBEE」シリーズもお目通しいただければ幸いです。
                                  ―1月4日、石田―




『カウントダウンが始まっている』

 ロケット打上げや大晦日で馴染みがあるカウントダウンが、昨今様々なところで始まっている。
 古くて新しいカウントダウンと言えば、世情につれ現われては消え、消えては現われるハルマゲ
ドンである。かってオウム真理教が世間を騒がせた頃、世の終末到来の代名詞に使われたが、もと
もとはキリスト教ヨハネの黙示録にある「善と悪による最終戦争」の後、神の降臨により善人が救
われる「最後の審判」の時を意味しているのだそうだ。日本でも鎌倉時代に世の終末として唱えら
れた「末法思想」ともやや共通するものがあるようだ。                  

 現代人に警告を与えるカウントダウンに「核の時計」がある。核廃絶を訴えて、バートランド・
ラッセル卿を盟主にアインシュタインや湯川博士等が1957年結成した「バグウオッシュ会議」
が提唱した。世界終末時計とも言われ、核戦争による人類滅亡を午前零時になぞらえ、それまでの
カウントダウンを示している。シカゴ大学により管理される科学誌「原子力科学者会報」表紙に残
時間が掲載される。残り時間は世界状況により増減し、84年米ソ間の核軍拡競争が激化した時、
終末31分前になり、91年冷戦終結で17分前に戻り、その後アフガンやイラク戦争で針は進み、
イランの核開発や北朝鮮の核実験で一気に5分前まで進んだ。先日の中越沖地震で露わになった原
子力発電所のもろさ、これは柏崎原子力発電所だけの弱点ではなく、日本はおろか世界中の原発施
設が抱えている問題である。単なる自然災害ではなく、人間の浅智恵と思い上がりを今回の地震は
教えてくれた。果たして終末時計は何分前を指しているのだろうか。            
>
 本誌読者に馴染みのあるのは言わずもがな「デジタル完全移行」のカウントダウンである。完全
移行まで残り4年となったさる7月24日、Dpa (デジタル放送推進協会)主催による「地デジ体
感全国キャラバン」のニュースがテレビ画面や紙上を賑わせた。いまだ十分といえない視聴者のデ
ジタル化への理解をより高めるべく開催された。Dpa は地上波放送の円滑かつ迅速なデジタル移行
と安定的な運用を図ることを目的に、NHK、民放、関連メーカが構成し03年7月23日に設立
された。そして同年12月1日、三大都市圏で開始され、06年12月には全国地域局でもサービ
スが始まり視聴エリアは84%となり、今年末までに92%を超える。しかし残り数%の難視地域
を解消することはひとすじ縄では行かない。30年前、当時伸長期にあったテレビ難視解消策とし
て登場したのがBS放送だったが、今度の救いの神はネットとの連携であろう。       

 朝日新聞紙上に「あと4年、地デジ移行、大丈夫?」とのいささか刺激的な記事が載った。地デ
ジのサービスエリアは8割を超えたが、受信者側の対応は今いちで、アナログ放送終了の認知度は
ようやく60%を超えた程度だそうだ。デジタル対応のテレビ出荷台数は6月末現在2240万台
を超え、世帯普及率は27%になったそうだ。今回のイベントなどを通じ、サービスエリアの拡大と
受信機100%普及に向け国策として取り組むとしているが、果たして見込み通りに行くだろうか。
 量販店では薄型テレビが所狭しと並び、国内外メーカ入り乱れ価格競争が進み、売れゆきは順調
だと聞く。これまで主流だったプラズマや液晶型に加え、SEDの商品化、有機ELの大型化など
次世代参入で薄型テレビ商戦はさらに激化しそうだ。しかし普及済みの1億台と言われるテレビが
デジタル対応に入れ替わるかと言うと難しい。低価格化が進んでいるとは言え、デジタルテレビは
DRTに比べまだまだ高く買い替え需要は大きく盛り上がらない。国は格安チューナの開発、普及
を目指し、各メーカにハッパをかけており、現在2万円以上する外付けチューナを5千円以下にし
たいそうだが、いつ頃実現するだろうか。                        

 来年8月の北京オリンピックまで1年のカウントダウンが始まった。オリンピックはこれまでも
放送メディアに大きな影響を与えてきたが、古くは1964年東京オリンピックでのテレビ普及大
伸張、88年ソウルオリンピックでのBS普及、その後の長野、シドニー、バルセロナ大会などを
期にハイビジョンは大きく進展した。来年開催の北京大会は、世界的潮流を反映しHDTV全盛に
なると言われている。これまで以上にデジタル対応テレビの普及が期待され、総務省は3600万
台の普及を見込んでいるそうだ。相当の伸びだが、それでも1億台に比べればまだ3分の1である。

 中越沖地震にあわせ、緊急地震速報と言うカウントダウンが話題になっている。地震の際、縦揺
れP波と横揺れS波の時間差を利用し、本震到着前に警告を発する仕組みである。もちろん地震予
知ではなく初期微動時間内に本震到着を予告するもので、直下型の場合には時間差が小さく対処時
間がほとんど取れない。とは言え原発や鉄道など緊急性を持ちインフラを担う施設には早急にシス
テム整備を進めて欲しいものだ。                            

 数の論理で押し切ってきた政権与党の驕りに、国民は大きな審判を下した。激震を食らい民意を
読めなくなって右往左往しあわてて絆創膏を張るような空手形を頻発している感がある。本稿が世
にでる頃、状況がどうなっているか分からないが、いずれ来る本震への予知警告のカウントダウン
に馬耳東風のていたらくは世も末である。  (10月号掲載、2007年8月半ば記)   












































岩手県立盛岡第一高等学校1960年卒在京同期会
在京白堊三五会・技術エッセイ(石田武久)

 技術ジャーナリストとして“放送技術”に匿名で書いたもの1編




『メールの送り状』(2014/01/03)


 村野井さん、まったく貴殿のおっしゃるとおりです。私もひたひたと戦前復帰の波が押し寄せて
きている感を強く感じています。我らより若い世代には、その危機感が希薄な感じです。   ..
 私は今、週に1回電通大にて特任講師として顔を出していますが、昔のように学生運動が起きて
もおかしくないのに、今の若者はまったく熱気が感じられません。それどころか40代、50代の
教官連中も元気があるのが少なくなっていると感じています。おこがましいけど、学生よりも中堅
の先生方をしごきたいと思っています。
参照                       ..

 直近の放送技術誌のコラム欄に書いた原稿(これは匿名欄です)を送りますのでお読みいただけ
れば幸いです。シニア世代、今年も大いに元気に頑張りましょう。石田           ..

  1. 『宇宙に消えたアイソン彗星と次世代4K放送』  放送技術1月号(2012)















































岩手県立盛岡第一高等学校1960年卒在京同期会
在京白堊三五会・技術エッセイ(石田武久)

 技術ジャーナリストとして“放送技術”に匿名で書いたもの2編




『メールの送り状』(2012/12/28)


 村野井さん、先日、三五会でお会いしたかと思ったら、今年も残り少なくなりました。お元気な
様子、何よりです。私の方は、リタイアー後始めた自称ジャーナリスト業で、国内外を駆け回り、
雑誌に記事を書いたり、人前で話しをしたりと、結構忙しい日々を楽しみつつ送っております。あ
ちらこちらにガタはきつつも、幸い、心身ともに意気軒昂で今しばらくはこんな日々を楽しみたい
と思っております。                                  
 佳きお年をお迎え下さい。そしてまた来年も元気にお目にかかりましょう。石田武久    

追伸:放送技術誌に記名記事の他に匿名のコラムも書いております。その中の今年の分の2編を添
付しますのでHPにアップしてもらっても結構です。                   



  1. 『夢とロマン溢れる「宇宙ショー」と日蝕予測』  放送技術7月号(2012)
        関連して、管理人が撮った金環蝕の写真アルバムを ここ におきます。

  2. 『メイドインジャパン! 再生・復活なるか?』  放送技術1月号(2013)