ホーム上に花壇があり、様々な季節の花が咲く唯一の駅である。駅の北方約1kmの所に国指定史跡の虎塚古墳があり 一帯は古墳公園となっている。ひたちなか市から出土した遺物は併設されているひたちなか埋蔵文化財センターに展示 されている。 虎塚古墳群、十五郎穴横穴墓群など数多くの遺跡や、センターの出土品展示は多くの考古学フアンを引きつけている。
虎塚古墳(とらづかこふん)
標高20mの台地上にあり、全長56.5m、後円部径32.5m、後円部高さ7.5m、前方部高さ
7.2m。前方部が発達した後期形式の前方後円墳で、7世紀中頃の築造と考えられている。墳丘に埴輪
の樹立はないが、前方部墳頂から須恵器の破片が出土している。
後円部南側で長さ4m余の横穴式石室が発見され、石室内には東日本でも珍しい彩色壁画が発見された。白粘土で
下塗りした上に酸化鉄で三角文、円文、環状文、渦巻文などの幾何学文様と武器、武具、馬具、装身具などの絵が
描かれていて、天井石、床石も赤く彩色してある。
一部の文様は線刻と彩色を併用しており、文様や技法は熊本県菊池川流域の装飾古墳に類似している。ひたちなか
付近の豪族の埋葬例であるが、この時代の九州との交流の有無は明らかになっていない。
1973(昭和48)年発掘に先だって石室内の温度、湿度、空気組成、微生物等の科学的調査を最初に実施した
古墳である。貴重なデーターを収集したので、後に石室の観覧室建設時に大いに役立った。毎年春、秋の彼岸の頃
に計16日間石室の彩色壁画を一般公開している稀有な例である。