東水戸には駅舎がなくホーム上に簡素な待合所があるだけで、高架の下から階段を上るとホーム に出る。駅前には広場や商店などは何もない至って淋しい場所で、喧騒な水戸駅との落差を感じる。 ホーム上に掲げてある名所旧蹟案内板によると佛性寺(八角堂)2.6km、六地蔵寺(四脚門・ 法宝蔵)1.5kmとあるので訪ねてみた。

佛性寺(ぶっしょうじ)
 東水戸駅の南側に位置する。国道51号線に出て東水戸霊園墓地の案内板に従うと良い。佛性寺 は隣り合わせであるが狭い道なので充分注意を要うする。
 涌石山 大日院 佛性寺 宗派:天台宗 本尊:大日如来
天長年間(824〜834)に慈覚大師円仁(794〜864)によって創建されたと伝えられている 天台宗の寺院で、往時はかなりの巨刹であった。本尊の大日如来坐像と脇侍の三十日仏坐像は室町時代 中期の作と考えられ県指定文化財である。

 本堂は面積56平方m、高さ11m、全国で唯一茅葺屋根の八角円堂で、各所に残る墨書から天正13 (1585)年に建造されたことが明らかになっている。細部様式など当時の典型的な特色がみられ 極めて貴重な建造物であり、国の重要文化財に指定されている。平成23(2011)年3月11日 発生した東日本大震災により甚大な被害を被り、同年12月から解体保存修理を行い、平成26 (2014)年7月に完了した。この工事により元禄6(1693)年本堂の正面が東向きに改変 されたことが判明したため、創建時の南向きに復元した。
 山門の両側に立つ石造金剛力士像は県指定文化財である。また境内のイチョウは樹高26m、幹回5.72m、 推定樹齢800年で水戸市の保存樹に指定されている。  

六地蔵寺(ろくじぞうじ)
 東水戸駅の南西に位置する。国道51号線の案内標識によって細い道を進むと、境内の前に大きな 駐車場がある。南側の高台にある水戸中央病院の大きな建物は存在感がある。六地蔵寺は古来から安産、 子育て、心願成就に霊験あらたかと伝えられ多くの参詣客がある。また枝垂れ桜の名所としても名高 く、桜の季節には大勢の見物客が訪れる。
 倶胝密山 聖寳院 六地蔵寺(ぐていみつざん しょうほういん ろくじぞうじ)
宗派:真言宗豊山派 本尊:六体の地蔵菩薩
大同2(807)年六反田古墳群の中心地にある霊場に開山され、室町時代永亨年間(1429〜 1440)の宥覚(ゆうかく)上人を中興一世とする。本尊は六体の地蔵菩薩、身丈6尺の一木造り で行基菩薩(668〜749)作と伝えられていて、元禄13(1700)年に建立した茅葺屋根の 地蔵堂に安置されている。平成3(1991)年の修理調査により、現在の建物は3度目の建立である ことが判明した。寺院内には数多くの文化財があり法宝院に保管されている。

国指定文化財
 工芸品、 朱漆足付盥(しゅうるしあしつきたらい)4点
   根来塗布薩盥(ねごろぬりふさつたらい)ともいう。
用途は毎月衆僧が集まって懺悔をするために行う布薩会(ふさつえ)で手を清めるための浄水を受け る仏教法具である。

県指定文化財
 典籍 892部(1975冊)、文書 407点(479通)、四脚門 1棟、両回曼荼羅 2福、 弘法大師像 1幅 真言八祖像 1幅、十二天立像 12幅、六字経曼荼羅 1幅、十三仏図 1幅、釈迦十六図善神図 1幅、 制た迦(せいたか)童子像 1幅、灌頂用具 11点、密教法具 23点、龍輪宝羯磨文戒体箱(りゅう りんぽうかつ まもんかいたいばこ)1合、説相箱(せっそうばこ)2合、銅板貼山伏笈 1背、 漆経櫃(うるしきょうびつ) 1合

水戸市指定保存樹
 スギ 2本 、樹高 33m、 幹回6.9m、樹齢1100年
 イチョウ、 樹高 32m、 幹回6.4m、樹齢800年
 シダレザクラ、樹高 7m、 幹回2.4m、樹齢160年
 ナツツバキ、樹高 26m、 幹回5.7m、樹齢300年
 ケヤキ、  樹高 22m、 幹回3.4m、樹齢200年

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