07/07/29 本田泰人引退試合
昨シーズンでユニフォームを脱いだ元鹿島アントラーズMF本田泰人の引退試合が、鹿島スタジアムで行なわれた。この引退試合には、最高の舞台が用意されていた。その名も「鹿島アントラーズ1993 vs ヴェルディ1993」。これはまさにJリーグ初年度のチャンピオンシップの再現である。アントラーズにとっては初代王者の栄冠を勝ち取ることができなかったという、その歴史を語る上で決して忘れることのできない試合だ。
スターティングメンバーはそれぞれ次の通り。
◇アントラーズ⇒GK:佐藤洋平、DF:賀谷英司、大野俊三、奥野僚右、古賀聡、MF:石井正忠、本田泰人、サントス、FW:黒崎久志、増田忠俊、アルシンド
(サブメンバー:曽ヶ端準、名良橋晃、鬼木達、眞中靖夫、ジョルジーニョ、相馬直樹、熊谷浩二、柳沢敦、本山雅志、小笠原満男)
◆ヴェルディ⇒GK:菊池新吉、DF:都並敏史、中村忠、柱谷哲二、加藤善之、MF:ラモス留偉、北澤豪、三浦秦年、菊原志郎、FW:戸塚哲也、武田修宏
(サブメンバー:高桑大二朗、富樫剛一、西ヶ谷隆之、菊池利三、藤吉信次、服部年宏、永井秀樹、石塚啓次、小倉隆史)
豪華すぎる。二度と見ることなどできないと思っていた光景が目の前に広がっている。本田の引退を飾るためとはいえ、これだけのかつての名選手達が一同に会すことなどそうあるもんじゃない。そう考えただけで、試合開始前から感動してしまった。それでも欲を言い出せばキリがないが、古川、秋田、長谷川(祥)、ジーコ、ビスマルク、ロッサム、ペレイラ、キングカズにも是非来てもらいたかった。とはいえリーグはシーズン真っ盛りなわけで、日程上やむなく参加できなかったという選手からは、ビデオメッセージで本田へ労いの言葉を伝えるという場面もあった。
さて、試合の方はPM17時キックオフで始まった。前半開始早々、武田が現役時代を彷彿とさせる、「らしい」ゴールでヴェルディが先制した。一方アントラーズは、ジョルジーニョが上げたクロスボールが直接ゴールに吸い込まれ、同点とした。試合中はどの選手も全く手を抜いている様子はなく、ラモスとアルシンドのアツさに牽引されて、見ごたえのある場面を見せてくれた。後半はさすがに、引退選手達の中に疲労の色が見え始め、両チームともに現役選手を次々と投入した。ヴェルディの石塚が2点目のゴールを決めると、すかさずアントラーズも反撃。小笠原のコーナーからオウンゴールを誘うと、続いて眞中が持ち込んで逆転のゴール。終盤にはアントラーズがPKのチャンスを得て、ここを本田がしっかりと決めて、試合を締めくくった。
最後に、本田の引退セレモニーが行なわれた。サポーターへの感謝の言葉と、これからの自身の抱負を語り、最後に選手達から胴上げを受けた。僕が個人的に感動したのは、故・宮本監督の墓の前で引退の報告をする本田のVTRが流れたことだ。今でも恩師への感謝の気持ちを大切に持ち続けているその姿勢に、心を打たれたのであった。引退後も現役時代同様夢を与え続ける存在として、今後の更なる活躍に期待したい。