09/03/20〜21 静岡の旅
どんよりと曇った空の下、ララが運転するトワイライトグレーのウイングロードに乗って、日立を出発した。常磐道を抜け、上野駅でノガを拾い、東名に差し掛かったところで大渋滞に引っ掛かってしまった。給油ランプが点滅を始めていたので仕方なく横浜町田インターで下り、ガソリンスタンドへと急いだ。その頃にはすっかり快晴の天気になっていた。
気付けば時間はお昼前。お腹も空いたので、町田へとちょっくら寄り道することにした。昼食は町田で言わずと知れた有名店「らーめんおやじ」で味噌ラーメンを食べた。何年ぶりかに食したが、やはりうまい。野菜と味噌スープのバランスが絶妙なのだ。そうこうしているうちに時計は2時を回り、ノガが所用のため帰っていった。
旅はまだ始まったばかり。さあ、静岡へと一気に向かうぞ!と意気込むも、下道も大渋滞。かなりの時間をロスしてしまった。まあいい、時間はたっぷりあるのだから。富士山をバックに、海、山と景色はどんどん変化する。しかし、電車旅のようにゆっくりと眺めている余裕は残念ながらなかった。
7時、浜松に到着。ひとまず宿へと向かう。駐車場に車を止め、看板の下をくぐり、薄暗く細い路地を進むと、そこに「旅館山水」はあった。急な階段を上った先の畳部屋が、今夜の宿泊場所だ。玄関を開けた時から感じていたのだが、何だか友達の家に泊まりにきたような、そんな感覚であった。ララは「俺ん家だ!」と言っていた。
それから間もなく、浜松駅に到着したコッキと合流し、夜飯を食べに「福光」へと向かった。浜松は宇都宮にも引けを取らないギョーザタウンということで、その味を確かめるべく地元の有名店を訪れたのであった。メニューはとてもシンプルで、ギョーザ10コ、15コ、20コ…といった具合であったが、僕らはとりあえず、ギョーザ15コに味噌汁とご飯の付いた定食を頼んだ。食べてみた感想だが、味自体にはそれほどの感動がなかったというのが正直なところ。しかし、周りを見渡すと、観光客よりも地元の客の方が圧倒的に多い。こうしてしっかりと地元の人達に支持されている辺り、ギョーザというものが一つの文化として定着しているんだなと、身を持って感じた。
山水に戻り、制限時間一人5分という状況の中ダッシュで風呂に入り、明日に備えて就寝した。
■福光のギョーザ
■旅館山水
朝食は普通の家のダイニングで、普通にいただいている感じであった。でも、その素朴さが何とも新鮮であり、旅館のおじさんおばさんとの交流もでき、ここに泊まったことは良き思い出となった。
山水を後にし、ひとまず僕らは浜松城へと向かった。荒々しい野面(のづら)積みの石垣は一見すると粗暴で崩れやすそうではあるが、四百年もの風雪に耐えうる強固さを持っており、石垣も見かけによらぬものだと思った。城内には家康が三方ヶ原の戦いでの敗走時、自らを戒めるために描かせたというしかみ像などがあり、興味深かった。
■八百徳本店のうな重
■浜松城にて
浜松市博物館でララの大道芸を見たのち、いよいよ浜松のうなぎを食すべく「八百徳本店」へと向かった。2階の座敷へと通され、早速うな重を注文した。運ばれてきた重箱のふたを開けると、食欲をそそるタレの香りと共に光り輝くうなぎが現れ、無我夢中でかきこんだ。最後にうな肝のお吸い物で締め、しばし至福の時を過ごした。
腹も心も満たした僕らは、続いて東海の名城、掛川城へ。重厚感漂う大手門をくぐり、三層四階の勇壮な天守閣へと歩を進めた。本格木造による再建なだけあって、急な階段や狭間(鉄砲や弓を放つための小窓)もあり、往時の城の雰囲気を味わうことができた。また、現存としては京都二条城などを含め全国でも4ヶ所しか残っていないという城郭御殿があり、こちらも赴き深かった。ララとコッキの詠んだ俳句もまた乙であった。
■駿府城隅櫓
■掛川城にて
日も落ち始めた夕刻、この旅の締めくくりとして、駿府城を訪れた。天守は残っていないものの、城跡をぐるりと囲む広大な水濠と石垣、復元された隅櫓や東御門には迫力があり、天下普請で造られた城の規模の大きさをうかがい知ることができた。
それから僕達は、駿府城そばにたたずむ「もんじゃや」で夕食を取った。ここは、かの三浦カズの妹さんが切り盛りしているお店である。メニューにあったデカビタCで乾杯し、お好み焼、もんじゃ焼、チャーハンを鉄板の上で一生懸命作った。しかし、なんだかんだのアクシデント続出で、出来上がったものがハチャメチャだったのは言うまでもなかった。カズの妹さんのなんとなく冷たい視線を感じつつ、店を後にした。
帰路、途中沼津でお風呂に入り、ひたすら高速を走った。ひどい渋滞に巻き込まれながらも、コッキを東京で降ろし、再び高速に乗ってひたすら北上した。時は深夜を迎え、疲れもピークに達し、何度となく睡魔が襲う。車内合唱コンクールを催してなんとか気を持たせ、無事日立に到着。いや〜、疲れた。終始運転していたララの疲れは尚更だろう。やっぱり車は疲れるなぁ…。長距離の旅はやはり電車に限るかなぁと思う次第であった。