10/07/19 関ヶ原の旅 三日目
よく眠れた人もそうでなかった人も、朝は平等に訪れる。何はともあれ月光荘を後にした僕らは、特に当てのない一日のスタートとして、ひとまずイノダコーヒへと向かった。
一昨年に訪れたポルタ支店に続いて、今回は本店へと足を延ばした。広い店内と壁一面のガラス窓の向こうに広がる中庭。落ち着いた雰囲気の中にも開放感があった。イノダ特有の、絶妙なバランスで砂糖・ミルクが先入れされたコーヒーを飲みながら、リッチなブランチ・タイムを満喫したのであった。
駅へと向かう道すがら、偶然にも「NHK大河ドラマ特別展―龍馬伝―」の看板に出くわし、迷うことなく会場へと足を運んだ。会場内はイベント最終日ということもあって人々でごった返していた。ゆっくり見学していたら何時間もかかってしまいそうなほどの展示品が並び、武市半平太の書簡や岡田以蔵の拳銃、龍馬の肖像写真など、見どころ満載であった。
京阪電車に揺られ、中書島駅で下りると、運河沿いに月桂冠や黄桜などの酒蔵が立ち並ぶ風景に出合った。そこからさらに進んだところに、寺田屋はあった。しかしこの建物、実は本物ではなく、旧寺田屋跡の西隣に再建されたものだということが最近になって明らかになり、かつて内部を見学したことがある僕らは非常にショックを受けたのだった。
そして今回の旅も終わりが近づく。車窓を流れる景色を眺めながら、この3日間を振り返る。暑さと疲労でヘトヘトになりながら、ひたすら電車に揺られて、ひたすら街を歩いて。旅というものは本当に疲れる。しかし、家に帰り日常が回り始めてしばらくすると、再び旅をしたい気持ちがどこからか湧いてくる。大変だった旅の記憶が時間をかけて熟成され、それもまた良い時間だったと思い返す。次の旅の計画が、こうしてまた始まっていく。