鍛冶工房studio ZWEI <藤森昭信 茶室「せん茶」 tank teahouse project

藤森照信展-自然を生かした建築と路上観察

藤森さんの新作茶室「せん茶」 tank teahouse にて、
金物制作は studio ZWEI 担当しました。
展示会は、2017年 水戸展、広島展とも終了しています。

広島現代美術館  ホームページ→
水戸芸術館 ART TOWER MITO ホームページへ→

2017年3月11日[土]〜 2017年5月14日[日] 終了 



大変だったのはこの猫脚形状の脚部!
これを実現するために、せん茶本体床下から、
脚付け根にかけてすごい鉄補強しました。

あんまり、見る人いないと思うのだけど、
車輪回りの金物かっこよくできた。
一応押せば走ります。

2月15日〜17日  車体フレーム(シャーシー)制作
 
@床の強度を出すため、75o角パイプでフレームを定盤の上で作る。(逆さまの状態)
 写真右のボックス状の所に木製脚部がはめ込まれる。 この後塗装してまず第一回目の納品なんだけど、眠い・・・ 時間がなくて徹夜。


はめ込み式の構造意匠提案
三角形溶接でよい、と言われたんですが、
さすがに味気ないと思い提案。
リベットのほうが、十分強度出るし、
見た目もカッコイイので。

2月17日〜19日  車体フレーム(シャーシー)納品 
 
A鉄のフレームを木部でくるんでしまいます。スタイロホームを間に入れて、接着剤付けて面で貼り付ける。
モノコック構造だそうだけど、まあこんだけ太い角パイプが入ってれば、そうでなくても問題ないかと。
筑波大の学生さんと大工さん等々頑張ってます。    徹夜明けでなんで私役立たず。。。
この跳ね上がってる部分を付けて床は完成。
あれよあれよと、私の75o角パイプの鉄シャーシーはコンパネの中に消えてしまいました。一人ではあんな重かったのにね



2月21日  近くの現場のついでに水戸芸館行ってみる。
 
B1日ぶりに作業場に行ってみる。
事前に切ってあった板材のJパネル(分厚いコンパネみたいなもの)を、床から組み上げていく。  木部チームも大変そう。
この板JパネルはCADデータからNCで正確に切り出したみたい。  問題は板同士がつながる小端の傾斜角度。
傾斜角度がすべてバラバラ(左右対称の形でもないので) 3次元CADで出したみたいだけど、このすり合わせは大変。
大工さんたち頑張ってた。 こういう時は、私は雑用とか力仕事ですね 
このあと私は、しばらく工場に籠って別件仕事と、次のパーツ制作です。 今度来るときには小屋になってると思う。

3月4日〜車輪、足回り納品

久々に行ってみたら、みんなで銅板張ってた。
外装は、エアパッキンぐるぐる巻きに、銅板(0.2o)をベコベコにしてからトラスタッピングビスで留付け作業。
ビカビカな感じですごいインパクト
なんだか人工衛星みたいな物体です。
 
 
C足回りの金物パーツできたので2回目納品。 藤森さんから話聞いて、初回に書いた下書きからあまり変わらないね。
CADで図面引いてレーザーカット出しておいた。 パーツを組み上げて溶接。
楔は大きくして、少し曲面にしたりして骨ぽくした。まあ、私の趣味なんだけど、このくらい、いれてもいいでしょー

3月6日 脚部取り付け 
 
D本体に脚部取り付け。
ハンドリフトで上げておいて脚部はめ込みして貫通ボルトで留めるだけ何のだけど。
オレきっかり作りすぎた(汗)  でも、とりあえず大工さんたくさんいるしその場で修正してはめ込み。 ヨカッタヨカッタ
私、一番の不安はクリアされましたー。  一安心。
 
前輪脚部も収まり、車輪取り付け。
車輪との間にはワッシャーかましてあります。

内装も銅張。
ビカビカで派手です。


3月7〜8日工房にて鍛造 〜9日取り付け 全体作業完成

E扉の丁番制作。
やっと鍛冶屋らしい仕事かも(笑)。 ここら辺の家具の金物みたいな意匠案もだいたい採用してもらえてよかった。
まあ、普段やってることあんまり変わらないんですが。


丁番デザイン複数、提案出したのだけど、これに決定。没案も結構よかったんだよね。 まあどこか他の現場でやるかね。

  

 


お疲れさまでした。 かなりきついスケジュールだったのですが無事完成。
工場仕事は1人だったんだけど、現場行くと大人数で作業。なんか文化祭のようで楽しかった。
筑波大の学生さん優秀だった。 大工さんや参加した職人さんたちも臨機応変で慣れてた。学芸員スタッフの皆様もお疲れさまでした。
後半は、水戸芸術館会場で作業だったのですが、隣では展覧会準備していたりと、舞台裏を見れたのも面白かったです。
美術館展覧会って準備大変なんですね〜

さて、完成した茶室は、
中は3畳程度の広さなんだけど、そんなに狭い感じはしなかったです。 無理くり大人8人はいれました。
天井の一番高いところで大人がやっと立てる程度。基本的に座っているから広く感じるのかもしれません。
広さの感覚とは、目線と天井の距離なんじゃないだろうかと思った。
中側のパネルの合わせが綺麗です。これ見た目には簡単そうですが、左右非対称で不定形パネルの集合体でやってるので実際はすごく大変です。
この中のスッキリきれいな感じで仕上がったのは、大工さんはじめ木工チームの頑張りですね。
建築の持つ祭事性みたいなものが見れた気がする。まあ、自分より大きいもの作るときは、みんなで勢い良くってのは必要かもね。(笑)

3次元CAD使ったり NC使ったり結構ハイテク技術も入った木造構造体だったりするのですが、
エアパッキン巻き始めたりと、最後はやっぱり藤森建築でした。
藤森さんと話しをするのも楽しかった。 さすが人を巻き込むのがうまいです(笑)


藤森さんは、学者として書籍も多いです。とても面白く、読みやすいです。
ドイツから帰国したとき、建築に対しどのように向き合えばよいかと何冊か読みました。
藤森さんの赤派と白派の話は、仕事のヒントにさせていただきました。
そんなこんなで、私に話が来たのは何かの縁かもしれませんね。


おまけ

これが今回の制作動機だそうです。
水戸東照宮に奉納されている「安神車」
→水戸市の資料
→水戸市の資料2

大八車(荷車)を牛に曳かせて、この鉄の箱の中に中に人が入り、
穴から射撃できるらしい。出入りは下から
要は戦車なのですが、実戦されたことはない。

鉄板とリベットの感じはカッコいいのだけど。
いろいろ突っ込みどころ満載なこの仕様。
普通に戦ったほうが良さそうです。
詳しくは下写真:立て看板を読んでみてください。

藤森さんはこの戦車からインスピレーションを得たらしい。

お気軽にお問い合わせください。
E-mail: s.zwei@net1.jway.ne.jp                               →このページのTOPへ

Home へ Profile へMagazine へTopic へLink へEnglish へサイトマップへ
 Copyrights (C) studio ZWEI. All Rights Reserved      このサイトに掲載されているすべてのテキストと画像の無断複製・流用を禁じます