夢荘日記　　　　2000年2月

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2/28/2000（ATOK13と仕事と小さな命と散歩と）
2/25はATOK13の発売日。家に帰ると予約していたバージョンアップ品が届いていた。Apple storeのOS9もそうだったが、事前に申し込んだ物が、発売日にきちんと届くのは気持ちの良いものだ。まず、ここで合格点。

今、3/3の重要な会議を控え、大変忙しい時を過ごしている。それでも早速インストール。ATOK12の環境をきちんと引き継ぎ、直ぐに何の違和感の無い変換が出来る。土日は会議の資料と説明用の原稿作りに費やしたが、ATOK13のおかげか、ストレスの少ない入力が出来た。変換の自然さも学習力も更に進歩したようだ。日本語変換システムは、機械的な変換効率の比較では無くて、気が合うと言うか、感覚的に合うものと、どうもずれているものがある。ATOKはいくつかのIMを放浪してたどり着いた、私には気の合うシステムだ。

土曜の夜から降り出した雪で、日曜日の朝は一面の銀世界。早めに起き出してMacを起動、資料作りをしていると、何やらバサッ、バサッと雪の落ちる音。夢荘から３メートル程先の木についた雪を、鳩が落としている。ここは少し前に鳩が巣作りをしていた場所、巣の周りの雪を落とし、巣への雪や水の進入を防止しているのだろう。夜は雪の中をじっと卵を抱いていたに違いない、こんな鳥でも命を守る懸命な努力をしているのだ。

資料づくりに疲れた午後４時過ぎ、いつもの散歩コースに出かける。春の淡雪だったのだろう、朝の雪景色は嘘のような散歩道。温度は低いが、しばらく歩いていると暖かくなってくる。海は引き潮なのか大きく浜が出て、パステルカラーの空に青い海が広がる。少し荒れているせいか、白い波と空、海のバランスがとても綺麗だ。

帰り道、ヒバリの囀りを聞いた、もう春もそこまで来ているようだ。資料作りで疲れた身体も、散歩で元気を取り戻した。色んなソフトを立ち上げてシステムメモリーの増大したMacを再起動するとすっきりするように、人間も再起動が必要だなと思った、素晴らしい散歩だった。

2/25/2000（自然破壊もこれで決着）
夢荘の下の川の改修も、どうやら終わりのようだ。二週間ほど前の土曜日、凄い音がするので飛んでいってみると、あの現場監督がいた。聞くと「予算が余ったので、もう少し先までやる指示が出た。未だ図面が来ていないのだが、ともかくあの辺までやる」と指さす。

政治家なら誤魔化す内容も、言われたままを正直に言ったのだろう。しっかりとした目的でやる工事では無くて、予算を消化する工事。きっと今回の改修工事そのものが、予算を獲得し、消費するのが目的の工事だったのだろう。恐らく日本中で同じ様な無駄遣いが、無数に行われていると思う。全て税金なのだから、本当は許されない行為なのだが、これが日本経済の活性化とは悲しい現実。

同じお金を使うなら、21世紀を見据えたネットワーク環境の構築こそ必要だと思う。高速、多容量の回線を設置し、安く使える環境が、これからの情報化時代を支えていくはずである。この面では日本は相当の後進国になっているのでは無かろうか。常時接続にすると、繋ぎっぱなしにされるのを心配する、今の環境はとても先進国の仲間入りをしているとは思えない。

結局は土木は票になり、ネットワークは票にならないのだろう。でも、今回の工事の一件は、コンクリート護岸の水路化計画を防止できたのだから、少しは住民の声が届くようになったと感じている。
少しずつでも土建国家からの脱皮が始まっているのだろう。21世紀を日本が生き延びるには、いつまでも今のままではいけないと考える人の力が、声が、伝わる時代が、すぐそこまで来ていると信じたいものだ。

2/21/2000（時間差連動タップ故障の顛末記）
2/4の日記にMac用の時間差連動タップの修理を依頼したが、異常なしとして返却され、動作不良のままだった事を書いた。日記を見たAYNi Mac!nakamuxuさんからは、使わなくなったものが有るのでお譲りしますよ、の嬉しいメールも戴いた。ご厚意に甘えようとも思ったが、使えないものを送り返したメーカーには事実を認識してもらう必要があるので、状況を連絡した。結果は時間差起動で無い普通のタップへの代替となった。

この代替品は今のところ問題なく動作している。だったら割高な時間差連動は何だったのだろうか。返却したものが着いたとの確認メールも寄こさないメーカーなので、ユーザー重視からはほど遠い所に有るのだろが、もう少しユーザーの気持ちを理解して下さいの願いを込めて書いた、私のメールを引用して本件の締めとしたい。
・・・・・・・・A社SUPPORT宛メール引用・・・・・・・・・・・・・・・・
受け取り、動作確認しました。
今のところ問題なく動作しています。
グレードダウンの交換のようですが、動作していますので、了解です。

どうも腑に落ちないのは、何故こちらでは起動しないか、真の原因です。
全ての状況をご連絡しませんでしたが、これまでに貴社のタップを3台購入し、全て1年前後で動作不良になっています。
使用環境は
（１）Performa5210（自宅）
（２）7600/200（会社）
（３）G3DT233（自宅）（１）とはSCSI機器が違う
ですので、貴社が再三主張されている、接続とかSCSIケーブルの不良とは考えにくいのです。（場所もMacも環境も違う３つが偶然に同じ条件になるとは、考えにくいからです）

何か共通項は無いか考えたのですが、１年経過以外には、全て冬場に、それも寒い日に起きているかも知れないと言うことです。恐らく機械的な動作部分が無い電子部品で、温度それもせいぜい5℃位での不具合は考えにくいのですが、当方の環境に原因があるとすれば、そんな所だけです。

貴社は我々の年代では、信頼と憧れの製品を作っていたメーカーとの認識です。
そんな期待が、今回のやりとりでは裏切られた感じがしました。理由は、貴社の立場からの発言だけで、ユーザーの気持ちを無視した（私にはそう感じました）対応だったからです。
自分のところの製品に悪いところは無い、悪いのは使い方と、恐らく貴兄は考えているのでしょう。そこまでの表現をしていなくても、同じ不具合を3回も経験し、何かこちらで悪い所は無いか色々試みた後のお願いに、素直には応えて戴けませんでした。

こんな嫌な思いを又、他のユーザーにもしないようお願いいたします。ぜひ、相手の立場になって考える、そんな会社になって下さい。
それが、かつては貴社を信頼していた、一ユーザーの気持ちです。
・・・・・・・・・・・・メール引用ここまで・・・・・・・・・・・・・・
世間では顧客満足度の向上が経営の第一と言われているが、慣れ親しんだ体質はそう簡単には変わらないのだろうか。さて、アップルは？

2/17/2000（地方のMac事情）
サミいさんの「無iBook県地図掲載運動」の中で、「地方における現状はどうすれば改善できるのでしょうね？現状や解決案などございましたらメール下さい。」と呼び掛けている。現状は紹介できるのだが、うまい解決案を見いだせないので、私なりの考えをここに書いてみたい。

たまに寄る秋葉原のMac専門店の盛況や、昨年初めて出かけたMACWORLD Expo/Tokyoの混雑を経験したり、WebのMAc系ページを見るとMacは意気盛んの世界に思える。ところが一転して地方の状況を見ると、Macって何処で買えるのだろうと考えてしまうのが事実。IMacやiBookが見られないと言うのは贅沢な悩みで、Macそのものが無い。幸いこの町には一店だけMacを置いてある店はある。でも、文字通り置いてあるだけ、電源にも接続されていないのだから、ただ見るだけ。

この店も開店当時はMacコーナーに数台のMacが有り、自由に触ってみることが出来た。しばらくすると、その展示スペースが半分になり、更に半分に、そしてただ置いてあるだけになった。だから、これもいつ消え去るか分からない。これを見ているとアップルが地方を切り捨てていると言うよりも、販売店がMacを相手にしていないように思える。同じスペースなら売れるものを展示するのが経済原則、Macはこの原則で隅に追いやられているだけなのだ。

勤務先で私の居る事務所には60台位のPCがあるようだ。このうちMacは2台で3.3％、全社的にはこれより一桁少ない割合だと思う。原則はMacをネットに繋いではいけないのだが、ボランティア的なMac愛好家の努力で何とか使えるようになっている。だからMacが無くなっても大部分の人は困らない、おそらくパソコン店も困らないだろう。むしろ手間が省けて歓迎される位が関の山だ。

ならば改善策は？アップルに頑張って貰うしか無い。日本市場では大きなデスクトップよりもコンパクトなノートや液晶タイプのコンパクトなデスクトップの需要が大きいようだ。G3やG4の内部へのアクセスの良さ、高性能なPowerBook、iMacやiBookの斬新なデザインの良さ等はMacの世界にいたら良く分かる。でもそれは冒頭に書いた地方でのMac事情と同じで、大勢の世界から見たら、何だか勘違いしていない？って感じかも知れない。

だからアップルはMacの良さをもっとPRし、販売店が喜ぶサポートと供給体制を採り、日本市場にフィットした製品も提供する必要がある。それが無理ならこれ以上の拡大は見込めないし、そうなれば又「Appleは潰れるのですか？」の声を聞く日が来るだろう。Macに不自由しない新宿の地に有って、本当に地方の事が分かっているのだろうか。切り捨てられようとしているのは、あなた方なのだと言う事を。

2/12/2000（無iBook県地図掲載運動）
サミいさんが無iBook県地図掲載運動を呼びかけている。パソコンに初めて触れる人にこそ使って欲しいIBook。でも、その機会さえない地域がいっぱいある。サミいさんの言われる「全国で誰でも気軽にiBookを買うことの出来る体制を作って欲しい」に賛同し、無iBook県地図を掲載した。

同じ費用を掛けるなら、投資効率の良いところに集中して掛けるのは分かる。でも、それは余りにも近視眼的ではなかろうか。魚が集まっているところを纏めて取り尽くしたら、いずれはいなくなる。将来を見て魚が住める環境をつくる、それも彼方此方に。それが先を見たやり方、そんな手を、今のアップルなら打てるはずだ。

地方の、それも、おじさん達は会社と同じパソコン(Windows)にしか興味を示さない。iBookは、そんなおじさん達を相手にしている訳では無い。なんの先入観の無い若者が、オッと言って触ってみる、あるいはもっと小さな子供がOSを意識しないでいじってみる、そんな場面に最適なパソコンだと思う。

地方でも、都会と同じコストを掛けなさいとは言わない。大手量販店でiBookデモ展示販売店があるのだから、どこの店でも展示して買えるようにしたら良い。Windowsでさえまともなサポートの出来ない地方店に、多くを期待する必要は無い、iBookを触ってもらえれば、それで良い。先入観の無い初心者が触れれば分かる心地よさ、それがMacOSであり、iBookだと思う。

iBookやiMacでMacの新しい仲間が増えてきたら、どんなに楽しいだろうか。だから、無iBook県を一掃して、同じ市外局番の所には少なくても一店はiBookの店がある、そんな体制をアップルにはお願いしたい。不可能では無いですよね、アップルさん。

2/8/2000（5Kmの徒歩通勤も半年が過ぎ、冬の海を満喫）
皆さんの通勤はバス、車、電車で、徒歩はそこまでのアクセスくらいでは無かろうか。交通手段が無い訳でもないのに、5Km以上の道を徒歩で通勤する物好きな私。それが半年も続いた。

きっかけは昨年の7月。主に在勤する場所が自宅から4Km程の所になった。車ならこれまでより30分は遅く出ても良い。でも、これに慣れてしまうと、前の職場に行く日がきつくなる（どちらにも席があるので）。スポーツクラブを辞めてから体重が増加の一途。で、徒歩通勤を決意、どうせならと海沿いの迂回路を通勤コースにした。

汗をかきながらの夏、程良い気候で浜菊の花を見ながらの秋、そして今、寒風の中をと想像した冬を迎えている。暖冬のせいなのか、歩くと暖かくなるからなのか、それほど寒さが苦にならない、このまま春を迎えられそうだ。

これだけ海に付き合っていると、その微妙な変化を感じる。今は、冬の海が一番綺麗かなと思う。この付近の太平洋は、冬に向かって透明度を増してくる、青空も映って、透明な青に見える。朝の冷え込みによっては、河口付近の海全面から白い蒸気が立ち上る光景に出会える（まだ一度しか会えていないが）。

そして2月。1日の朝はその河口付近の海に20隻以上の漁船が集まっている。何かの漁が解禁になったのだろうか。物知りに聞くと、シラウオかなと言う。さっそくMacのなかの広辞苑を見ると、シラウオとは
「シラウオ科の硬骨魚。体長約10ｾﾝﾁﾒｰﾄﾙ。体は瘠型で半透明。春先、河口をさかのぼって産卵。日本の各地に産し、食用。」
マイペディアには
「シラウオ科の魚。全長10cm。生きている時はほとんど無色透明，死ぬと白くなる。日本海全域と，太平洋側では本州中部以北に分布。汽水域にすみ，春，産卵のため川を遡る。美味で吸物，てんぷら等に用いられる。」

そう、この汽水域が川と海の混じり合うところ、海全面に白い蒸気が立ちこめていた区域だったのだ。こんな光景に出会えるのも徒歩通勤の楽しみ。更に良いおまけは体重が2Kgも減った。きつくなっていたズボンが緩くなり、ベルトを切りつめるところまでになった。

景色を堪能出来て、ダイエットになり、更にはガソリンを使わないのだから地球温暖化防止にも貢献できる。天気や仕事の都合では車通勤の日もあるのだが、これからも素晴らしい徒歩通勤を続けたいと思う。

2/6/2000（自然破壊の歯止め成功か）
1/22の日記で「誰も望まない工事で自然が壊れて行く」を書いた。（夢荘の下の川に突然大型の土木機械が入り改修工事が始まった話。）県へ要望を直接提言出来ることを知り、工事の中止か方向修正を申し出た。その後、県からは何の応答も無いのだが、市の環境条例の説明、市会議員の新聞折り込み報告や、土建系衆議院議員からの余りにも遅すぎる年賀状が届く等、何か底知れぬ動きを感じていた。

数日前には河口近くの土木機械は撤去され、コンクリートの護岸工事を着手する気配が無くなっていた。更にボランティアで遊歩道を造っているグループからは、県の土木事務所から工事（草刈り）に協力するとの連絡が入ったとの報告があった。そんな話を聞いた今日の散歩で、事態は良い方向に向いているのを実感した。夢荘の真下付近には未だ土木機械が動いているものの、土砂を運び出す作業だけで、ここもコンクリート護岸工事の気配は無い。さらにその上流にはボランティアが作成中の遊歩道があるのだが、県の土木事務所が除草作業をするとの看板が出ている。工事期間は3月末、どうやらコンクリート護岸工事を止めにして、その費用をこちらに回したのかも知れない、

川底を削られたので、秋に上った鮭の卵（稚魚）や鮎の餌になる苔が被害を受けただろうが、これ以上の工事が中止されれば、何年後かには又、鮭や鮎が戻ってくると思う。手を着けられていない区域もあるから、生き延びた者もいるだろう。あのカワセミもきっと何処かで生き延びて欲しい。今回の県への提言が効いたのかどうかは定かでは無いが、ともかく良い方向に向かったのは事実のようだ。自然に乾杯！

2/4/2000（顧客満足度0の対応に怒り心頭）
1/23の日記に、時間差連動タップが故障したこと、修理に出したことを書いた。この製品はオーディオ機器の部品で有名なメーカーの製品、名前がテクニカだからきちんとした修理対応を期待していたのだが、裏切られた気持ちだ。

時間差連動タップとはご存じの方も多いと思うが、Macのパワーキーを押すと、それに連動して最初にSCSI機器の電源が入り、その後Macが立ち上がるタップ。外付けのHDが繋がれていても内蔵HDの感覚で使用できるテーブルタップのようなものだ。なんの問題もなく使えていたものが、突然Macが立ち上がらなくなった。以前にも経験しているのでADPポートに繋がるケーブルの接触確認、タップの再起動等を繰り返し、接続機器の接触、一部機器のOFF等々何度も試みても回復しないので修理を依頼した。

ところが修理依頼のメールには、そちらの使い方が悪いからそうなるみたいな感じの返信。そうじゃない、こちらでは出来る限りの確認をしてもだめだから修理をいらいした旨を再送信。しびしぶ修理を引き受けてもらった。結果は「どこもおかしくないから、そのまま返す」、そちら様で確認して欲しいと、
「2.532MACはコンピュータのADBのポートに差込むケーブルが付属いたします。このADBの端子には４つの接点があり１つがキーボードのキータッチの信号線、コンピュータよりADBを利用する周辺機器への5Vの電源供給線、パワーキーという特別のキーのための信号線、最後が電機の逃げ道としてのグランドという構成になっています。キーボード上のパワーキーを押すとパワーキーの信号線がグランドと接し、そのことによりコンピュータはパワーキーの押引を知ることができるようになっています。」
この後も延々と続く、こちらは悪くないの意味の書類同封でタップが送り返された。

このところ液晶モニターやストーブの不調で、不愉快な対応や素晴らしい対応を経験した。その違いは故障をメーカーの立場で考えるか、顧客の立場で考えるかの違いのようだ。当社の製品に問題は無いの立場と、お客さんは不自由をしているだろうと考える立場では、全く逆の対応になる。あまり怒らない私だが、今回の件は怒り心頭である。こんな製品も、会社も粗大ゴミ行きだろう。

アップルはどちらの立場で対応しているのだろう。地方にいては良く見えないが、駄目な方の立場（に近い）気がする。顧客の立場にいることを見せて欲しい、そうなって欲しいものだ、見捨てられない前に。

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